全身性エリテマトーデスの治療薬の一つであるベンリスタ®(ベリムマブ)について、わかりやすくまとめました。
ベンリスタ®についての簡単なまとめ
- 生物学的製剤と呼ばれる薬剤の一つ。
- 全身性エリテマトーデス(SLE)に対して初めて承認された生物学的製剤。
- ステロイドや免疫抑制薬に「上乗せ」して使うことで、病気の勢いを抑え、ステロイドを減らす効果が期待できる。
- 注射するタイプの薬剤で、点滴と自己注射(皮下注射)の2種類があります。
- 免疫抑制作用・抑うつ傾向といった副作用に注意が必要です。
SLEの最新情報を順次お伝えするマガジンを配信中!
治験などについても配信しています。
フォローすると通知がきます。
目次
全身性エリテマトーデス(SLE)の治療の流れ
全身性エリテマトーデス(SLE)の治療の中心は、免疫「調整」薬・免疫「抑制」薬です。
SLEは、異常な「免疫」が自分の体を攻撃してしまうことで起きる病気です。
そのため、異常な免疫を抑える薬を使うことになります。
ベンリスタ®(ベリムマブ)は、免疫抑制薬の一つであり、病気を抑えるために使用します。
SLEの治療方針
まずはプレドニンをしっかり使い、徐々に減量していく。
(プレドニンを使わなくていい場合もあります)
詳しくは以下のサイトをご覧ください。
あわせて読みたい
全身性エリテマトーデス/SLEの治療について
全身性エリテマトーデスかもしれない、全身性エリテマトーデスと診断された。そんな不安を抱える患者さんたちのための、「治療」についてをまとめたページです。 全身性…
ベンリスタ®(ベリムマブ)の効果
ベンリスタ®はBLyS(ブリス。BAFF(バフ)とも呼ばれる。)阻害薬という種類の薬剤です。これがなぜSLEに効果があるかを説明します。(かなり専門的な内容のため、簡単にして記載します)
「免疫」とは、インフルエンザにかかっても1週間程度で自然と治るように、外敵を攻撃するシステムのことです。
SLEは、自分の「免疫」に異常が生じて、自分の体を「敵」と認識して攻撃してしまうことで生じます。
このとき中心的な役割を担っているのが、「B細胞(ビーさいぼう)」という白血球の1種です。
B細胞は本来、「抗体」という武器を作る細胞です。SLEでは、B細胞が自分自身に対する抗体(自己抗体と呼ばれる)を作ってしまいます。
この自己抗体が、異常な塊を作って様々な場所に蓄積したりすることによって、SLEが引き起こされています。
ここで登場するのがBLyS(B lymphocyte stimulatorの略、BAFF(B-cell Activating Factor belonging to the TNF family)とも呼ばれます)という物質です。
BLySはB細胞を生きながらえさせ、さらに成長するのを助ける作用があります。(自己抗体を作るB細胞以外にも必要ではあります)
SLEの患者さんでは、BLySが増えていることが知られており、これによって「自己抗体」を作るB細胞が生存・成長してしまっていると考えられています。
ベンリスタ®は、BLySに結合して無力化することで、異常なB細胞を抑制する効果を狙った薬剤です。
つまり、B細胞を直接壊すのではなく、「兵糧攻め」のようにじわじわとB細胞を減らしていくイメージです。
ベンリスタ®の種類
ベンリスタ®(ベリムマブ)は2通りの方法で使用できます。
皮下注射(オートインジェクター・シリンジ製剤)
- 1週間に1回・200mg・自分でも注射可能
- 値段が高い(SLEに使用する生物学的製剤の中では)
- オートインジェクター ・・・ 1本あたり 26,873円
- 自分で投与するタイプで、ボタンを押すと自動で薬が入り、患者さんでも投与しやすいです。
- シリンジの場合 ・・・ 1本あたり 24,994円
- 医療者が投与するタイプ。予防接種と同じような形状。(自分での投与も可能)
- 1ヶ月あたり 約115,000円/月(オートインジェクターの場合)
- つまり3割負担の方であれば、35,000円/月程度。(実際には診察料・在宅自己注射指導管理料・検査費などが別途かかります)
- 高額療養費制度・指定難病の医療費助成を受ける場合には、自己負担額はこれより少なくなることが多いです(自己負担額は、患者さんの保険や難病の状況によって大きく異なります)
- 自己注射の仕方については以下のページから確認できます。
点滴
- 4週に1回・点滴(病院で行うため、来院が必要)
- ただし2・3回目だけは、2週間間隔(初回→2週間後→4週間後→8週間後・・・その後は4週間おき)
- 1回の点滴は1時間以上かけて行います
- 値段が高め
- 体重によって1回の量が決まっています
- 1回あたり、体重1kgあたり10mg(つまり50kgなら500mg)
- 120mg 1瓶あたり 16,616円
- 400mg 1瓶あたり 54,609円
- 1ヶ月あたりの値段
- 体重50kg(500mg) ・・・約71,000円/月 → 3割負担で約21,000円/月
- 体重60kg(600mg) ・・・約88,000円/月 → 3割負担で約26,000円/月
- 体重70kg(700mg) ・・・約104,000円/月 → 3割負担で約31,000円/月
薬価(薬の値段)は、薬価改定で変更されるため、最新の情報では変更されている可能性があるため、注意が必要です。
ベンリスタ®の利点
全身性エリテマトーデスの患者さんにおいて、プレドニン®(ステロイド)を減らす力があると考えられています。
ベンリスタ®の利点
- プレドニン®(ステロイド)を減らせる可能性がある
- 全身性エリテマトーデスの治療の目標の一つが、プレドニン®(ステロイド)を減らすことにあります。
- ステロイドは非常に効果の高い薬剤ですが、その分副作用も多いです。
- 最初からステロイドを使う場合、必要な時にステロイドをしっかり使って、減量していくという方針がとられます。
- このときにステロイドの肩代わりをすることができる可能性があると考えられています。
- また、ステロイドは使用していなくても、ベンリスタ®を使用することで病気を抑えることができる可能性もあります。(ここは患者さんごとに大きく異なります)
- 再燃を減らす効果がある
- 病気の勢いを抑えるだけでなく、再燃(病気がまた悪くなること)を減らす効果が期待できます。臨床試験では、重度の再燃が減ることが示されています。
- 続けやすい
- 副作用が比較的マイルドで、長期に継続しやすいと考えられています。臨床試験でも、副作用の頻度はプラセボ(偽薬)と大きく変わらない結果でした。
- しかし免疫抑制薬であることは変わりなく、感染症になりやすくなります。
- 腎臓の調子が悪くても使用できる
- SLEの治療薬には、ベンリスタ®以外にも種類がありますが、腎臓が悪いと使えない・使いにくいものがあります。
- その点、ベンリスタ®は腎臓が悪くても使用することができます。
ではなぜ最初からベンリスタ®をすべての患者さんに使用しないのでしょうか。
それは一定数の患者さんは他の薬で十分に病気を抑えることができるからです。
添付文書上も、「ステロイドや免疫抑制薬で適切に治療しても疾患活動性が残る場合に、上乗せして使う薬」とされています。
一方で、最初から病気の勢いが強い方や、ステロイドをどうしても減らせない方には、早めから使用することもあります。最終的には主治医の判断が重要です。
ベンリスタ®の欠点
以下のような欠点もあります。
ベンリスタ®の欠点
- 注射でしか使えない
- 自己注射の場合には冷所(冷蔵庫)で保存が必要など、特別な管理が必要な場合があります。
- 点滴の場合には必ず1ヶ月に1回受診が必要です
- 効果が遅い可能性がある
- ベンリスタ®はSLEで重要になるB細胞という白血球を直接攻撃するわけではなく、徐々に兵糧攻めにする薬のため、そういった薬と比較して効果が遅いと考えられます。
- 添付文書でも、「治療反応は通常、投与開始から6ヵ月以内に得られる。6ヵ月以内に効果が得られない場合は、継続の適否を慎重に再考する」とされているため、少なくとも効果の実感には月単位かかります。
- イメージとして、打ったら調子がすごくよくなる、というよりはステロイドを下げても病気が悪くならないようにしてくれる、といった縁の下の力持ちのような薬です。
- 値段が高い
- 3割負担の方であれば、薬剤の費用だけで1ヶ月あたり2〜3万円程度かかります。
- 指定難病の助成を受けられる場合は、これよりも値段が安くなる可能性があります。
- すべてのSLEの方に使用できるわけではない
- 臨床試験では、重症の神経精神ループス(NPSLE)や、重症のループス腎炎(LN)においては、効果や安全性は確認されていません。(重症ではないループス腎炎に対しては、有効性・安全性が確認されています)
- 臨床的に主治医が投与したほうがリスクより利益が上回ると判断すれば投与している例もあります
- 他の生物学的製剤(サフネロー®・アニフロルマブ)とは併用できません
詳細は主治医に相談したり、最新の薬剤情報を確認しましょう。
ベンリスタ®の副作用
ベンリスタ®には以下の副作用が報告されています。
ベンリスタ®の副作用
特に重要なものを抜粋します
- 感染症
- 注射部位反応(皮下注射の場合)
- 過敏症(アレルギー反応)
- うつ症状
- 間質性肺炎
- 悪性腫瘍(がん)の可能性
以下で詳しく説明します
感染症
ベンリスタ®は異常な免疫を抑制してくれますが、本当は抑制したくない、正常な免疫まで抑制してしまいます。
これによって以下のようなことがおこりやすくなります。
- 普通は軽症で済む感染症が重症になりやすくなる。
- 普通の人がかからない感染症にかかりやすくなる。
- 昔に感染して、今はおさえられていた感染症がぶり返しやすくなる。
以下に詳しく説明します。
- 普通は軽症で済む感染症が重症になりやすくなる。
- 最も身近な感染症でいえば、インフルエンザや新型コロナウイルスでしょう。
- 一部では重症化する方はいらっしゃいますが、普通は自然と治る程度の感染症が、命に関わることになるほど悪くなりやすくなります。
- 普通の人がかからない感染症にかかりやすくなる。
- たとえば真菌(カビ)による肺炎がこの代表例です。
- そのなかでも「ニューモシスチス肺炎」が有名で、発症すると非常に重症な肺炎を起こします。
- 「バクタ®」「ダイフェン®」という薬剤は、このニューモシスチス肺炎の予防のために処方されています。これを飲んでいれば、ニューモシスチス肺炎になることはほぼ防ぐことができます。
- 昔に感染して、今はおさえられていた感染症がぶり返しやすくなる。
- 結核・B型肝炎・C型肝炎・帯状疱疹が代表的です。
- これらの病原体は特殊で、ヒトの体に感染しても、体から完全に排除することができません。完全に排除はできなくとも、通常は体の中で抑えられています。
- 免疫抑制薬を使用すると、抑えられていたものが出現(再活性化)することがあります。
- そのため、免疫を使用する前に、採血で感染したことがないかを確認させていただきます。
- もし感染していた場合、再活性化が起きていないかを、症状や採血で適宜確認することが重要です。
- 結核については、再燃を防ぐための薬を飲んでいただくこともあります。
ベンリスタ®を使用している限りは、免疫が抑えられた状態が続きます。
プレドニン®(ステロイド)に比べると、免疫を抑える作用は弱く、さらに他の副作用の面でもベンリスタ®が有利です。
注射部位反応(皮下注射の場合)
注射する薬のため、注射したところが腫れる・赤くなる・かゆくなる・痛くなるなどの症状が出ることがあります。
通常は一時的なもので終わることが多いですが、激しい場合には医師に報告してください。
過敏症・アレルギー反応
軽いものでは、じんましん、発疹、顔のむくみがでます。
重症になると、いわゆるアナフィラキシー(息苦しさ、血圧低下)などが起こることがあります。
点滴の場合、投与中〜投与直後に起こることが多く(インフュージョンリアクション)、病院で点滴するのはこのためです。
注意点として、過敏症が投与から時間が経ってから現れることがあると報告されています。投与後に体調の変化があった場合は、時間が経っていても医療機関に連絡してください。
うつ症状
ベンリスタ®に特徴的な、注意を要する副作用です。
臨床試験で、うつ病、自殺念慮(死にたいと考えてしまうこと)、自殺企図(自死を図ること)が報告されています。ベンリスタ®との因果関係ははっきりしていませんが、添付文書でも注意喚起されています。
- 気分が落ち込む
- 何をしても楽しくない
- 眠れない
- 死にたいと考えてしまう
このような症状が出た場合には、すぐに主治医やご家族に伝えてください。ご家族の方にも、こうした変化に気づいたら医療機関に連絡していただくようお願いしています。
もともとうつ病・うつ状態がある方、昔そのようにいわれたことがある方では、特に慎重な判断が必要です。使用前に必ず主治医にお伝えください。
SLEと診断されたり、治療がうまくいっていなかったり、治療が変わったりした場合に、気分が落ち込むことは当然の反応です。薬の影響かを明確に区別することは難しいことも多いですが、症状のタイミングや程度が重要になります。主治医と連携することが大切です。
また、なぜこのようなことが起こるのかはよく分かっていません。
悪性腫瘍(がん)の可能性
ベンリスタ®を使用した方で悪性腫瘍になったケースが報告されています。
SLEがなく、ベンリスタを使っていない方でも癌になることはあるため、ベンリスタ®との関連ははっきりしていませんが、注意が必要とされています。
臨床試験では、プラセボ群と比べて明らかに多いという結果ではありませんでしたが、臨床試験はあくまで限られた数の患者さんに、限られた期間実施したものに過ぎないので、これをもって悪性腫瘍が少ないとは言い切れません。
Q&A
全身性エリテマトーデスの薬全般の疑問
- 全身性エリテマトーデスってどうやって治療するの?
-
以下の治療を参考にしてください。
あわせて読みたい
全身性エリテマトーデス/SLEの治療について
全身性エリテマトーデスかもしれない、全身性エリテマトーデスと診断された。そんな不安を抱える患者さんたちのための、「治療」についてをまとめたページです。 全身性…
- 全身性エリテマトーデスの治療は中止できる?
-
基本的には完全に中止することは難しいです。
一部の薬剤では、病気が安定すると減量できることがあります。
そのため、まずは病気の勢いをしっかり抑えることに専念し、半年から数年程度、病気が安定した状態が続いたあとで、減量を考えるというのが現実的な治療方針です。
病気が安定していたとしても、急に治療を減らすと、病気が再び悪くなってしまうことがあります。これを再燃といいます。再燃に十分注意しながら慎重に減量していく必要があるため、すぐに治療を軽くすることは難しい場合が多いです。
現代のSLEの治療目標
- 病気が安定しており、
- 薬の副作用が少なく、
- プレドニン®(ステロイド)ができるだけ少ない状態 を目指すことです。
使用中の疑問
- ベンリスタ®を使っているときに、気をつけることは?
-
免疫抑制薬は、免疫の働きを通常よりも抑える薬です。そのため、使用中は感染症に注意することが最も重要です。
- 手洗い・うがい・マスクを心がける
- 風邪をひいている方や小さいお子さんと接する際には注意
- お子さんは、風邪や小児に多い感染症にかかっていることがあります。通常の大人であれば感染しなかったり、感染しても軽症で治ったりすることが多いですが、免疫が抑えられた状態では重症化してしまう可能性があります
- 人混みにはできるだけ行かないようにする
- 人混みでは感染症をうつされる可能性が高まります。
- また、ほこりが多く舞っていることもあり、ほこりの中には、真菌、つまりカビが含まれていることがあります。通常は、気づかないうちにほこりを吸い込んでも、免疫によって排除されています。しかし、免疫が抑えられた状態では、真菌による肺炎を起こしてしまうことがあります。
また、ベンリスタ®とは直接関係ありませんが、SLEの方は、紫外線対策が重要です。
紫外線によって、皮膚だけでなく、SLEの病気全体が悪くなる可能性があります。
- ベンリスタ®を使っているときに、食事はどのように気をつけたらいい?
-
バランスのよい食事をとっていただければ、特別に避けなければならない食品はありません。
ただし、ステロイド、たとえばプレドニン®やメドロール®などを使用している方は、いくつか注意すべき点があります
あわせて読みたい
ステロイド(プレドニン®)ってどんな薬?
このページではステロイドを使用する、また使用している患者さん向けに、膠原病内科医師が情報をお伝えします。 ステロイドの医療者向け記事 ステロイド(プレドニン)…
- ベンリスタ®と他の薬を一緒に使って大丈夫?
-
基本的には他の薬との飲み合わせが問題になることは少ない。
ただし、他の生物学的製剤(サフネロー®)と同時に使用することはできません。免疫抑制が強くなりすぎるためです。
具体的に心配な薬剤がある場合には、主治医に相談してください。
- 注射を打つ時間はどうしたらいい?
-
注射する時間は、安定して打てる時間を決めておくことがよいが、1日のうちいつでもいい。
朝は忙しくて注射を打つ時間がない方は夜がおすすめです。一方で、夜に帰宅する時間が不規則な方は、朝に打つ方がよいでしょう。
ご自身のライフスタイルに合わせて、継続しやすいタイミングを探してみてください。
- ワクチンは打っても大丈夫?
-
多くは問題ないが、種類によっては打てないため、打つ前に必ず確認を!
ワクチンには大きく分けて2種類あり、打ってよいものと、打つべきではないものがあります。
ワクチンは、病原体に似た構造を体に入れることで、それに対する免疫をつけることを目的としています。この「病原体に似た構造」が、どの程度病原体に近いかによって種類が分かれます。
- 不活化ワクチン
- 病原体そのものではなく、感染力をなくしたものや一部の成分を用いたワクチンであり、免疫抑制状態でも接種できることが多いです。
- 生ワクチン
- 病原体に近い性質を持つワクチンです。そのため、免疫を抑えている状態では接種できません。
結論として、SLEに対して免疫抑制薬を使用している方は、生ワクチンを接種することはできません。(不活化ワクチンはOK!)
大人になってから接種するワクチンの多くは不活化ワクチンです。そのため、多くは問題なく摂取が可能です。たとえば、インフルエンザワクチンや新型コロナウイルスワクチンは、基本的には問題なく接種できます。
生ワクチンには、麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜ、ロタウイルス、結核などがあります。これらは基本的には子どもで使用されることが多いワクチンです。また、帯状疱疹ワクチンのうち、ビケン®は生ワクチンであるため、免疫抑制薬を使用している方は接種できません。
一方、不活化ワクチンには、インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチン、肺炎球菌ワクチン、HPVワクチン、髄膜炎菌ワクチン、帯状疱疹ワクチンのシングリックス®、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチンなどがあります。これらは、免疫抑制薬を使用していても接種できることが多いワクチンです。
ワクチンの種類
- 不活化ワクチン ・・・免疫抑制薬を使用していても打てる
- インフルエンザ
- コロナウイルス
- 肺炎球菌
- HPV(ヒトパピローマウイルス)
- 髄膜炎菌
- 帯状疱疹(シングリックス®)
- A型肝炎・B型肝炎
- 生ワクチン ・・・免疫抑制薬を使用していると打てない
- (基本的には、こどもしか使用しない)
- 麻疹・風疹・水痘・おたふくかぜ・ロタウイルス・結核
- 帯状疱疹(ビケン®)
むしろ、免疫が抑えられている方では、ワクチンによって感染症を予防することが望ましい
薬の種類や病状にもよりますが、インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチン、帯状疱疹ワクチン、肺炎球菌ワクチンなどは、接種が望ましいとされています。
ただし、帯状疱疹ワクチンには2種類あります。シングリックス®は不活化ワクチンであり、免疫抑制薬を使用している方でも接種できます。一方、ビケン®は生ワクチンであるため、免疫抑制薬を使用している方は接種できません。
- ベンリスタ®を使っていて妊娠しても大丈夫?
-
非常に慎重な判断が必要です。
妊娠を計画する前に、必ず主治医に相談しましょう。
ベンリスタ®は、胎盤を通過することが分かっています。(人間以外の動物への実験で確認されています)
つまり、胎児にもある程度影響する可能性があります。ただし、具体的にどのような影響があるのか、またどの程度の可能性で影響が起こるのかについては、はっきりとは分かっていません。
したがって、妊娠中にベンリスタ®を使用するかどうかは、主治医が、投与するメリットが考えられるデメリットを上回ると判断した場合に限られます。この判断は患者さんごとに異なり、ケースバイケースで考える必要があります。非常に慎重な判断が必要です。
授乳についても同様です。
また、SLEでは病気が落ち着いていない状態での妊娠は、母体にも胎児にも危険です。
妊娠を希望される場合は、あらかじめ主治医に相談し、病気を落ち着かせた上で、妊娠中も使える薬に調整してから計画するのが原則です。妊娠を希望していることを、早めに伝えてください。
- ベンリスタ®の効果はいつぐらいに出るの?
-
明確な時期は個人差が大きいですが、6ヶ月以内の効果を期待することが多いです。
どれくらいで効果が出てくるかは,個人差の大きいところです。
ベンリスタ®は効果が遅いと考えられています。
医師にとっても、いつごろから効果が出てきたかは重要な情報です。そのため、日記などに症状(だるさ、痛い関節の数、皮膚など)を記録していただけると、治療効果を判断するうえで大きな参考になります。
自己注射の薬についての疑問
- 注射の針の太さはどれくらい?
-
採血よりもさらに細い針が使われる
自己注射で使用される針は、太さでいうと25〜29G程度です。Gはゲージと読み、数字が小さいほど針は太く、数字が大きいほど針は細くなります。
注射の針の太さ (数字が小さいほど太い)
- 18〜20G ・・・献血は18Gが使われる
- 22〜24G ・・・採血や点滴で最も広く使われている
- 23〜25G ・・・予防接種の針
- 25〜29G ・・・自己注射で使用する針
- 32G ・・・インスリンなどで使用する針
このように、自己注射で使用する針は、注射針の中でもかなり細いものです。注射針は太いほど痛みを感じやすいため、針を刺すこと自体の痛みは比較的少ない部類に入ります。予防接種の針より細いことも多いです。
ただし、針を刺す痛みが少なくても、薬剤が皮下に入る瞬間には、ある程度の痛みを感じることがあります。この痛みは、予防接種のときに薬が入る感覚に似ています。
患者さんに伺うと、投与を続けるうちに慣れていく方が多い印象です。一方で、最初は痛みや注射への不安を強く感じる方も少なくありません。不安が強い場合には、無理をせず、医師や看護師に相談して練習しながら始めるとよいでしょう。
- 自己注射のやり方はどこで教えてもらえるのか
-
施設によるが、看護師などからお教えすることが多い
自己注射薬は、最初の数回は院内で看護師などからやり方を教わりながら投与することが多いです。そのうえで、ご自身で安全に使用できると判断されれば、通常の薬と同じように外来で処方してもらうことになります。
- 注射薬の使い方は?
-
薬の種類によって注射の仕方は少しずつ異なるため、実際に使用する薬ごとの説明書を参考にしてください。ただし、基本的な操作は共通しています。
(ベンリスタ®の投与方法)https://jp.gsk.com/ja-jp/products/our-prescription-medicines/benlysta/
STEP
薬を冷蔵庫から取り出し、室温に戻す
室温に戻す時間は薬によって異なりますが、30分から1時間程度が目安です。
STEP
注射する
キャップを外し、注射器本体を握って、皮膚に垂直に・深く押し当てます。
確認窓の変化が終わるまで押し当てたままにする。オートインジェクターの場合、薬剤がすべて入るまで15秒ほど押し当て続けます)
その後、2回目の「カチッ」という音がした後、3秒間まって注入完了です。
より詳しい方法は、製薬会社作成の書籍や、かかりつけの医師・看護師に確認しましょう。
- 注射はどこに打ったらいい?
-
自己注射を行う場所としては、お腹、太ももが基本です
ベンリスタ®は二の腕には注射しないよう指示されています。
注射する場所は、毎回ずらすことが重要です。同じ場所に繰り返し注射すると、皮膚が硬くなったり、腫れや痛みが出たりすることがあります。前回どこに打ったか忘れてしまう場合には、日記などに記録して、場所を変えるようにしましょう。
- 注射薬はどのように保管すればいい?
-
基本的に冷蔵庫で保存し、温度は2〜8℃が目安が多い
薬の種類によって薬の扱い方は少しずつ異なります。そのため、実際に使用する薬ごとの説明書を確認してください。ただし、基本的な保管方法は共通しています。
冷蔵庫に箱ごと保存し、冷凍庫には入れないようにしてください。また、室温で長時間保存することも避けてください。
注射の種類によっては、1回の外来で10本以上の量を持ち帰ることもあります。そのため、冷蔵庫のスペースを確保しておく必要がある場合もあります。
- 飛行機に持ち込んでも大丈夫?
-
自己注射キットや針は機内に持ち込めることが多いです。ただし、保安検査の際には、医療用の注射薬を持っていることを申し出た方がよいでしょう。
国際線では、基本的に100mLを超える液体は機内に持ち込めません。しかし、医療上必要な薬剤については、持ち込みが認められる場合が多いです。ただし、航空会社から保冷機器を借りられることは基本的にはないため、保冷方法は自分で準備する必要があります。
JALやANAでは、自己注射薬の機内持ち込みについて、医師の書類や診断書は不要とされています。
- 海外旅行に行っても大丈夫?
-
海外への薬の持ち出しは、基本的には可能です。
SLEで使用する注射製剤については、日本側の許可は不要です。少なくともJALやANAでは、機内持ち込みが可能とされています。ただし、航空会社には事前に確認しておくことが理想です。
一方で、渡航先の国によっては、医師の診断書、事前の申請書、持ち込める薬の数の制限などがある場合があります。そのため、海外に薬を持って行く場合には、厚生労働省の海外渡航先への医薬品の携帯に関するページなどを確認するとよいでしょう。また、最も確実なのは、訪問先の在日外国公館に問い合わせることです。
- 注射薬はどのように捨てればいい?
-
お住まいの自治体の捨て方を参照してください。基本は病院で受け取ってもらえることが多いです。
使用後の注射キットは、基本的には処方された病院から廃棄袋を一緒に渡されます。その廃棄袋に入れて、外来受診の際に病院へ持参し、病院で廃棄してもらいましょう。家庭ごみとして捨てないようにしてください。
- 注射薬は痛い?
-
注射の針自体は採血よりもかなり細い。ただ注射したところが腫れたりすることはある。
注射の太さは、前述の通り以下のようになっています。
注射の針の太さ (数字が小さいほど太い)
- 18〜20G ・・・献血は18Gが使われる
- 22〜24G ・・・採血や点滴で最も広く使われている
- 23〜25G ・・・予防接種の針
- 25〜29G ・・・自己注射で使用する針
- 32G ・・・インスリンなどで使用する針
私の経験では、最初は痛みを感じていた患者さんでも、3〜4回ほど続けるとかなり慣れてくる方が多いように思います。
ただし、あまりにも痛い場合や、注射した場所がかゆい、腫れる、赤くなるなどの症状がある場合には、我慢せず主治医に相談してください。
こんな時どうする
- 針を刺したところが出血したらどうすればいい?
-
血が出ているところをしっかり抑えて止血する
針が細いため、注射後に出血する可能性は高くありませんが、出血した場合にまず行うべきことは、圧迫止血です。これは、出血している部分を押さえて血を止める方法です。
もし出血した場合には、注射した場所を10秒ほどしっかり押さえてください。その後、一度確認し、それでも血がにじんでくるようであれば、さらに3分ほどその場所を押さえてみてください。
毎回血が止まりにくい場合や、止血に時間がかかって大変な場合には、主治医に相談してください。
- 自己注射の薬を「冷凍」してしまった
-
冷凍してしまった薬は、使用してはいけません。
一度冷凍してしまった薬は、仮に解凍したとしても使用しないでください。注射薬の多くはタンパク質でできているため、冷凍によって中の薬が変化してしまっている可能性があります。解凍しても、薬が元の状態に戻るわけではありません。
そのため、一度冷凍してしまった場合には、その薬は使用せず、主治医に連絡して新しい薬を処方してもらいましょう。
- 自己注射の薬を常温で放置してしまった
-
12時間以上常温に置いた場合には使用しないようにする
決められた温度より高い温度で保管してしまった場合には、薬が変性してしまう可能性があります。そのような場合には、使用しないでください。
このようなことが起きた場合、薬が足りなくなる可能性があります。そのため、主治医に連絡して、必要であれば外来の予約を取りましょう。
- 注射薬を落としてしまった
-
注射器を硬い床に落としてしまった場合や、強く振ってしまった場合には、その薬は使用しないでください。また、キャップを外した後に落としてしまった場合も、使用しないでください。
外見上は大きな変化がなくても、針や本体の内部に異常が起きている可能性があります。また、キャップを外した後に落とした場合には、針が汚染されている可能性があります。そのまま使用すると、感染症を起こす可能性があります。
薬が足りなくなる可能性がありますので、主治医に連絡して、必要であれば外来の予約を取りましょう。
- 投与し忘れてしまったときに、次に2回分打ってよいか
-
投与し忘れた場合でも、原則として、忘れた分を取り戻そうとして、1回に2回分を使用してはいけません。
1回で2回分を使用すると、免疫を抑える作用が強く出すぎてしまう可能性があるからです。
忘れたことに気がついたタイミングで投与するかどうかは、薬の種類や投与間隔によって異なります。そのため、ケースバイケースです。
たとえば、1ヶ月に1回投与する薬であれば、1週間程度ずれても大きな問題にならないことが多いです。一方で、1週間に1回投与する薬の場合、1週間程度ずれると、1回分の投与ができなくなってしまうことがあります。
いずれにしても、2〜3日程度ずれただけで大きな問題になることは少ないと考えられます。ただし、投与を忘れたことに気がついた場合には、次にいつ投与すればよいか、主治医に確認してください。
- 注射器が故障した・うまく作動しない
-
その注射器は使用せず、主治医に連絡しましょう。
たとえば、ボタンを押してもうまく作動しない、音が出ない、針が出ない、途中で止まって全量が入らない、本体やキャップにヒビがある、といった場合です。
このような場合には、薬が正しく投与されない可能性があります。また、主治医から製薬会社へ故障の事例を報告する必要がある場合もあります。そのため、自己判断で使い続けず、主治医に相談してください。
- 内視鏡検査や手術を予定しているが
-
基本的には手術を受ける前に主治医に相談が必要です。
胃カメラや大腸カメラ程度の検査であれば、基本的には薬剤を中止する必要はありません。
一方で、手術の場合には、一時的に薬を中止した方がよいことがあります。
薬を続けるか中止するかは、治療中の病気の状態、手術の大きさ、感染症のリスク、薬を止めることで病気が悪くなるリスクなどを総合的に考えて判断します。そのため、手術や検査を受ける予定がある場合には、必ず主治医に相談してください。
- 注射を失敗した
-
基本的には、注射器の確認窓が完全に変わっていれば、薬は投与されているため、問題ないことが多いです。一方で、確認窓が完全に変わっていない場合には、薬がうまく投与できていない可能性があります。
(患者さん向け情報サイト) https://jp.gsk.com/ja-jp/products/our-prescription-medicines/benlysta/
カバーやキャップを外したときに、数滴ほど薬が漏れることがあります。この程度であれば、基本的には問題ありません。
ただし、明らかに注射器が破損している場合や、薬液が多く漏れている場合には、その注射器は使わないようにしましょう。また、注射器の故障や破損について、主治医に報告してください。
押し当てる時間が短かった場合や、斜めに打ってしまった場合などで、注射器の確認窓が完全に変わりきらなかったときには、薬がうまく投与できていない可能性があります。
途中になってしまった注射器は、再度使用しないでください。また、もう1本新しい薬を自己判断で代わりに投与しないでください。医師に連絡して、指示を仰ぐようにしましょう。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。
個々の患者さんの診断・治療方針は、病状、検査結果、併存疾患、使用中の薬剤などによって異なります。
実際の診療判断は、必ず主治医または医療機関にご相談ください。
Post Views: 325