BILAG

BILAGは、British Isles Lupus Assessment Groupの略で、全身性エリテマトーデス(SLE)の疾患活動性を評価するための指標です。

SLE の疾患活動性に起因し、直近4週間に出現した症状・徴候を、その前の4週間と比較して点数付けします。

歴史

原版は1988年に発表されました。 

更新版(BILAG-2004)は2005年に発表されました。改訂版では、血管炎セクションが削除され、眼科系と腹部系の2つの臓器系が追加されました。 Rheumatology (Oxford). 2003;42(11):1372–1379.

BILAG-2004の評価方法

まずは以下のルールを抑えましょう。

全体に共通するルール
  • SLE の疾患活動性に起因する所見のみを記録すること。
    • 損傷、感染、炎症過程を伴わない血栓症、またはその他の病態による所見は記録しない。
  • 評価は、直近4週間に出現した症状・徴候を、その前の4週間と比較して行う。
  • 活動性(activity)とは、可逆的な疾患過程を指す。
  • 一方、損傷(damage) とは、永続的な過程または瘢痕化、すなわち不可逆的な変化を指す。
  • 固定化または持続している所見については、SLE による damage が原因である可能性を考慮すべきである。
  • 一部の症状・徴候では、SLE によるものか、他の病態によるものかを鑑別することが難しい場合がある。
    • これは、特異的な検査が存在しないことがあるためであり、その場合には、蓋然性のバランスに基づく医師の判断に委ねられる。

以下のようにスコアリングしていきます。

スコアリング

各臓器について、【不変・改善・悪化・新規・存在せず・未評価】に分類します。
各臓器障害の項目について、0 = 存在せず、1 = 改善、2 = 同じ、3 = 悪化、4 = 新規、として点数をつけます。

  • 不変(Same)
    • 症状・徴候が直近4週間およびその前の4週間の両方に存在し、その前の4週間と比較して有意な改善も悪化もない場合を指す。
    • また、直近4週間でその前の4週間と比較して改善しているものの、下記の改善基準を満たさない場合にも same を適用する。
  • 改善(Improving)
    • 以下の条件を満たす場合(a+b または c.)
      • a. 改善の程度が、治療の減量を考慮できるほど十分であり、治療強化を正当化するものではないこと。
      • b. 改善が現在も存在しており、直近4週間のうち少なくとも2週間にわたって認められていること。
    • または、
      • c. 症状・徴候が完全に消失し、直近1週間全体を通じて消失したままであること。
  • 悪化(Worse)
    • 症状・徴候が直近4週間に、その前の4週間と比較して有意に悪化・増悪した場合
      • その程度は、治療強化を考慮するに足る程度である。
  • 新規(New)
    • 症状・徴候が、直近4週間に新たなエピソードとして出現し、その前の4週間と比較して新規であり、かつ改善していない場合
    • 過去に存在した症状・徴候が再燃した場合、すなわち古い症状の新たなエピソードも含まれる。
    • ただし、直近4週間に新たなエピソードとして出現していても、改善の基準を満たす場合には、new ではなく improving に分類する。
  • 存在せず(Not Present
    • 症状が存在しない場合。
  • 未評価(Not Done)
    • 臓器障害を評価していない場合。

(BILAG-2004では)8つの臓器系にわたる疾患活動性スコアを、治療必要性のレベルに応じてAからEで評価します。

評価する臓器
  • 皮膚口粘膜病変
  • 脳神経病変
  • 筋骨格関節病変
  • 心臓・肺病変
  • 腹部病変
  • 眼病変 (眼科の診察が必要)
  • 腎病変
  • 血液異常

各グレードの簡単な定義は以下のようになっています。これはあくまで各臓器に共通する考え方であり、実際には臓器ごとに詳しく症状が決められています。古典的BILAG指数は86項目、BILAG-2004指数は97項目あります。

  • グレードA
    • 免疫抑制薬および/または1日20mg以上のプレドニゾロン(または同等品)用量、または高用量抗凝固療法を必要とする可能性が高い非常に活動性の高い疾患
  • グレードB
    • より低用量のコルチコステロイド、局所ステロイド、局所免疫抑制薬、抗マラリア薬、または非ステロイド性抗炎症薬を必要とする中等度の疾患活動性
  • グレードC
    • 軽度の安定した疾患
  • グレードD
    • 疾患活動性がないが、既往はある
  • グレードE
    • 活動性も既往もない

研究における使用

  • Inclusion criteriaとしての使用
    • TULIP-2において
      • BILAG 2004 で1つ以上の臓器に重度の疾患活動性(A項目≥1)または2つ以上の臓器に中等度の活動性(B項目≧2を、Inclusion criteriaの一つとして使用されている
        • これに加えて、SLEDAI-2K ≧6、Clinical SLEDAI-2K ≧4、PGA≧1を満たすこととされている
    • BLISS-52
      • SELDAIのみで、BILAGは使用されていない
  • 評価項目としての使用
    • 複合評価指標である、SRI-4・BICLAの一部として使用されることがあります。
    • SRI-4・BICLAでは、それぞれでBILAGの扱いが大きく異なり、これによって評価に違いが生まれています。
    • 多くの臨床試験では、副次評価項目として、BILAGでの悪化なし(新規のAが1以下 または 新規Bが2つ以下)が使用されています。

よい点・悪い点

Arthritis Research & Therapy volume 17, Article number: 183 (2015)

よい点

  • 信頼性・妥当性がある
  • 評価の医療者ごとの差が少ない
  • 変化への感度が高い
    • SELDAIは臓器障害が消失しないと点数が変動しなかったが、BICLAでは改善を評価できる

悪い点

  • カテゴリー別または数値的スコアリングを計算するために、コンピューターを使用することが必須
    • これは有料
  • 病歴聴取や身体診察を含めて50分程度を要するため、実臨床には使用しにくい

BILAG flair index

BILAGを用いて再燃を定義するIndexがあります。  Ann Rheum Dis. 2011;70(1):54–59.

研究においては、中等度までの再燃を、再燃として扱っていることが多いように思います。

  • 重度の再燃 ・・・ A1項目以上
  • 中等度の再燃 ・・・ B2項目以上
  • 軽症の再燃 ・・・ B1項目 または C3項目以上

2026/05/04 内容を修正しました。

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この記事を書いた人

専門:膠原病リウマチ内科、内科
資格・所属:医師(MD) 
日本内科学会・日本リウマチ学会所属・大学病院勤務
患者さんから、(主に若手の)リウマチ科医師まで、膠原病・内科について広く知ってもらうことを目標にしています。皆さんで作っていくブログにしたいと考えていますので、お問い合わせフォームより、なんでも気軽にご相談・ご質問ください!

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