関節リウマチの質問集

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関節リウマチの患者さんやその家族に向けた、なぜ?なに?などのよくある疑問に答えるページです。

ディップ先生

実際の治療・診断・薬剤の金額等は、必ず主治医にご相談ください。

目次

症状についての疑問

関節がこわばる症状があるが,リウマチでしょうか?

様々な原因で手のこわばりは出現するため、手のこわばりがあるからといってリウマチとは限りません。

関節リウマチによる「関節炎」がある場合、痛みや腫れ以外にも、「朝に手がこわばる」「動かしにくい」という症状がでることがあります。

特に、朝起きてからこわばりが改善するまでに、30分以上かかる場合には要注意と考えられています。
複数の関節が腫れる、症状が数週間続く場合にも注意が必要です。

どのような症状が出るの?

関節リウマチは特に手の指・足の指・手首・足首などの小さい関節に「痛み・腫れ・熱っぽさ・動かしにくさ」が起きることが重要な病気です。

「関節炎」とは、ただ関節が痛いだけではなく、腫れを伴う状態のことをいいます。
下の写真では人差し指と中指に腫れを伴っています。

また、ご高齢の方の場合には、手だけでなく膝・肩など大きな関節に関節炎が出現することがあります。

さらに、腫れがはっきりしなくても、関節炎が存在することがあります。これは専門家でないと分からないことも多いので、気になる方はお気軽にリウマチ内科を受診ください。

リウマチが進むとどうなるの?

関節の症状がすすむと、骨が破壊されることによって手や足の変形が起きます。
関節以外の症状がある場合には、それも悪くなることがあります。(間質性肺炎・血管炎など)

炎症が長く続くと、軟骨や骨、腱・靱帯が破壊されてしまい、指がずれたり、変形が生じることがあります。

関節リウマチの患者さんで認められる変形の例。
J Clin Med. 2024 Dec 17;13(24):7677.

ただし、現在は関節リウマチになってから早期に診断して、薬で治療することで、関節破壊や変形を予防できる可能性が大きくなっています。変形は避けられないものではありません。
重要なことは、早く見つけて、早く適切な治療を行うことと考えられています。

関節以外にも症状がでることはある?

多くの臓器に障害が出現することがありますが、関節のみに症状が出る人もいます。

関節以外の症状として、

  • 全身のだるさ
  • 微熱
  • 食欲低下
  • 貧血
  • 間質性肺炎
  • 強膜炎(目が赤くなる・痛くなる)
  • 血管炎(数が少ない)
  • 髄膜炎(数が少ない)
  • 皮下結節(皮膚に塊を触れる状態) があります。

このような症状を伴う場合には、早めに主治医に相談しましょう。

検査・外来についての疑問

関節リウマチと診断するためにはどんな検査を受けるの?

一つの検査だけでは診断できず、採血や診察を組み合わせ、他の病気を除外する必要があります。

症状の経過と関節の診察に加え、血液検査(リウマトイド因子、抗CCP抗体、CRP、赤沈など)や、レントゲン・超音波検査などを組み合わせます。

似た症状を起こす感染症、痛風、変形性関節症、ほかの膠原病などを除外することも大切です。

当初は診断がはっきりとはつかないものの、進行して関節が破壊されてからでは遅いため、ある程度見切りをつけて治療を開始することもあります。

「リウマチの気」があるといわれた

多くは、健診などで採血検査(リウマトイド因子・抗CCP抗体)が陽性だった、という意味で使われています。しかし、検査が陽性でも関節リウマチとは限りません

採血は検査、関節リウマチの診断においてはあくまで参考です。
陽性であったとしても関節リウマチとはいえませんし、陰性であったとしても関節リウマチでないともいえません。

正確な診断のためには、診察や画像(胸部X線・超音波)の検査、他の病気の除外などが必要です。

心配な場合には、膠原病リウマチ内科を受診することをお勧めします。

採血でリウマチではないといわれた

検査が陰性でも関節リウマチとは限りません

採血は検査、関節リウマチの診断においてはあくまで参考です。
陽性であったとしても関節リウマチとはいえませんし、陰性であったとしても関節リウマチでないともいえません。

また、炎症の値(CRPや赤沈)が正常でも否定はできません。

正確な診断のためには、診察や画像(胸部X線・超音波)の検査、他の病気の除外などが必要です。

心配な場合には、膠原病リウマチ内科を受診することをお勧めします。

リウマチ因子って何?

免疫に関係する自己抗体の一つで、関節リウマチ患者さんの約70%で陽性になります。
ほかの原因でも陽性になることがあり、陽性だからといってリウマチとは限りません。

ほかの膠原病や慢性感染症、肝臓病、健康な方でも陽性になることがあります。陽性だけでは診断できず、陰性でも関節リウマチを否定できません。

値の変化とリウマチの病気の程度は関連することがあるため、陽性の人の場合は、治療中に測定することがあります。

抗CCP抗体って何?

関節リウマチと関連の深い自己抗体(自分に対して作られた抗体)です。
リウマトイド因子より診断の助けになりやすい検査ですが、これだけで診断するものではありません。

感度はおよそ60~80%(つまり関節リウマチの人の6−8割が陽性になる)、特異度は90~95%以上(陽性の人の9割は関節リウマチと診断される)と考えられています。
症状が出る前から陽性になることもありますが、陽性だけで診断する検査ではありません。値が高い場合は、関節障害が進みやすいかどうかを考える材料にもなります。

ただ値の変化とリウマチの病気の程度は関連しないため、基本的には1回しか測定しません。

超音波・レントゲンで何をみているの?

超音波では、関節・その周辺に炎症があるかどうか、また骨の状態も見ることができます。炎症が簡単に確認できる検査として非常に有用です。診察だけではみつけられない炎症を確認することができます。

レントゲンでは、骨の破壊、関節の状態・変形を確認することができます。レントゲンでは骨やその構造に異常がでてからでしか分からないことがあり、レントゲンに異常がでないことがむしろ治療の目標といえます。

健康診断で関節リウマチは分かる?

一般的な健康診断だけで診断することはできません。

リウマトイド因子が測定されていても、その結果だけでは診断できません。関節の腫れや朝のこわばりなどがあれば、健診結果が正常でも、膠原病リウマチ内科を受診しましょう。

関節リウマチそのものの疑問

関節リウマチってどんな病気?

自分を守るべき免疫が、誤って自分の関節を攻撃し、主に関節の滑膜に慢性的な炎症が起こる病気です。

関節リウマチのように、自分を守るべき免疫が自分を攻撃してしまう病気のことを、自己免疫疾患です

また、「関節」リウマチという名前ですが、関節だけでなく全身に影響することがあります。
早期から炎症を十分に抑え、症状がほぼない「寛解」を目指して治療します。

関節リウマチになる原因はあるの?

一つの原因で起こる病気ではなく、実際の患者さんでは原因は特定できません。

体質的なもの + 喫煙・歯周病などの環境や免疫の変化 が重なって発症すると考えられています。

歯周病や喫煙が直接関節リウマチを起こす原因になる可能性はいわれていますが(実際に喫煙している人の方がリウマチの程度が悪い可能性がある)、その因果関係までは依然としてはっきりしていません。

関節リウマチは遺伝する?子供もなる?

関節リウマチ自体は遺伝子との関係はあるとされ、リウマチのなりやすさは増えますが、必ずしも遺伝するとは限りませんし、それを見越した検査などは一般的に不要です。

第一度近親者に関節リウマチがいると発症しやすさは約3倍になりますが、多くの家族は発症しません。そのため、家族に関節リウマチの人がいるからといって遺伝子検査や抗体検査は通常行いません。(行っても意味が少ないと考えられている。)

関節リウマチは周囲にうつる?

うつりません。

ウイルスや細菌そのものによる感染症ではないため、接触、食事、咳などで家族や周囲の人に広がることはありません。

変形性関節症(ヘバーデン)とは違う病気?

異なる病気です。変形性関節症は非常に数が多いため、同時に存在することもあります。

変形性関節症は、軟骨がすり減るなどによって、骨が直接ぶつかり、変形することによる病気です。関節リウマチと異なり、免疫は関係ないと考えられています。

変形性関節症では、関節の骨が出っぱり、硬く触れます。特に指の先端の関節(DIP関節という)に生じやすく、この関節が硬く触れるものをヘバーデン結節といいます。(よくいうヘバーデンとはこの部分のことで、変形性関節症そのもののことではありません)

左はリウマチがでやすいところ。右は変形性関節症がでやすいところ。
最大の違いは指の先端の関節に症状が出るかどうかである。

症状だけでは区別しにくいこともあるため、診察や画像検査で区別が必要なこともあります。

膠原病と関節リウマチの関係は?

関節リウマチは膠原病の一つです。
膠原病とは、自分の免疫によって自分を攻撃してしまう病気の総称です。
関節リウマチの他にも、全身性エリテマトーデス・強皮症・シェーグレン病などが含まれます。

膠原病とは、
 本来、ウイルスや細菌などと戦うことで自分を守るはずの「免疫」が、
 自分の体を相手として戦ってしまうことによる病気の総称 のことです。

関節リウマチの場合には自分の関節を相手として攻撃してしまうことによっておきます。

関節リウマチとほかの膠原病が同時に起きることもあります。

膠原病については、以下のページを参考にしてください。

関節リウマチになりやすい人はいるの?

一般には、40−60代の女性で症状が出ることが多いですが、幅広い年齢層の人が発症します。

日本においては女性は男性の約4倍多く、40~60歳代での発症が多いとされていますが、近年は高齢で発症する方も増えています

また、男性や若い方でも、関節リウマチになることはあります。

家族歴、喫煙、肥満、歯周病などは発症との関連が報告されていますが、該当しても必ず発症するわけではありません。

治療・薬の疑問

特定の治療薬についての解説や疑問は、このページの一番上のリンクから参照ください。

リウマチの薬は一生飲み続けるの?

基本的には完全に中止することは難しいです。

一部の薬剤では、病気が安定すると減量できることがあります。

そのため、まずは病気の勢いをしっかり抑えることに専念し、半年から数年程度、病気が安定した状態が続いたあとで、減量を考えるというのが現実的な治療方針です。

病気が安定していたとしても、急に治療を減らすと、病気が再び悪くなってしまうことがあります。これを再燃といいます。

再燃に十分注意しながら慎重に減量していく必要があるため、すぐに治療を軽くすることは難しい場合が多いです。

関節リウマチってどうやって治療するの?

治療には一定の原則がありますが、実際にどの薬を選ぶかは主治医と相談しましょう。

ガイドライン上は、メトトレキサートから使用し、よくなりきらなければ他の薬剤を使用する、という方針になっています。

日本リウマチ学会2024ガイドラインによる関節リウマチの治療方針。

現実的には、メトトレキサートだけでよくなる方は、全体の4割程度だといわれています。逆に言えば、残りの6割の方は、メトトレキサート以外の生物学的製剤やJAK阻害薬を使用しないと、よくなりきることが難しいと考えられています。

しかし、メトトレキサートのみでよくなるかどうか、またどの薬が最も効果があるかは患者さんごとに異なり、はっきりと予測することが難しいです。

関節リウマチのタイプ、年齢、合併症、これまでにかかった病気、金銭面、薬の投与頻度、通院のしやすさなどを総合的に判断し、主治医が経験も踏まえて治療薬を選択しているのが実際のところです。

したがって、実際に患者さんを診察することなく、「この薬がおすすめです」と断定することはできません。

生物学的製剤にも様々な種類があり、主治医と相談してみましょう。

メトトレキサート(リウマトレックス)ってどんな薬?

メトトレキサートは関節リウマチ治療において、最も重要な薬剤です。
基本的には週に1−2回内服する薬剤です。

メトトレキサートは関節リウマチ治療において、最も重要な薬剤です。
様々なガイドラインにおいて、治療の主軸に据えられており、最も最初に使用するべき抗リウマチ薬(関節リウマチに対して使用する薬剤のこと)とされています。

そのため、使用できる場合には、まずはじめに使用することがよいと考えられています。

効果のスピードが遅く、効果を実感するのに週単位でかかることが多いですが、4割程度の患者さんはメトトレキサートのみでよくなってしまう方もいらっしゃいます。

ただし、使用できない患者さんがいらっしゃること、また副作用がある点には注意が必要です。

詳しい副作用、使用できない人、内服の方法などは以下のページをご確認ください。

生物学的製剤ってどんな薬?

「生物学的製剤」とは、生物が産生する蛋白質を利用した薬剤 のことです。
注射で比較的高価だが、その分効果も高い。

生物学的製剤は、メトトレキサートなどの内服の薬剤よりも、関節リウマチに対して効果があることが多く、生物学的製剤の開発によって、関節リウマチをはじめとした、膠原病の治療は大きく進歩したと言えます。しかし一般的な薬剤と異なる蛋白質の薬のため、値段が高い・副作用があるなど欠点もあります。

詳しくは以下のページをご確認ください。

JAK阻害薬ってどんな薬?

JAK阻害薬とは、細胞の中で免疫の連絡を担当しているJAK(ヤヌスキナーゼと読みます)を抑えることによって効果を発揮する免疫抑制薬の種類の一つです。
内服で比較的高価だが、その分効果も高い。

関節リウマチでは、炎症を起こす サイトカイン(TNF-α や IL-6 など)という物質が、血液や関節の中に過剰に放出されています。このサイトカインが細胞の表面にある「受容体」に結合すると、その刺激が細胞の中に伝わり、さらに炎症を引き起こす物質が作られ、炎症が続いてしまいます。

このとき、細胞の中で刺激を伝える「中継役」として働く酵素が JAK(ヤヌスキナーゼ/Janus kinase) です。JAKには JAK1・JAK2・JAK3・TYK2 の4種類があります。

JAK阻害薬は、この JAK の働きを止めることで、サイトカインの刺激が細胞の中に伝わるのをブロックし、炎症を抑えます。

詳しくは以下のページをご確認ください。

注射と飲み薬、どっちがいい?

一概にどちらがよいとはいえません。
関節リウマチの状態(関節・他の臓器の状態)や、経済的状況を加味して、主治医と相談して決めましょう

関節リウマチの治療は、一定の目安はあるものの、その方法は全員に共通ではありません。

例えば、メトトレキサートはすべての患者さんに使用することが勧められてはいますが、副作用の危険性などから全員に使用できるものではありません。
そういった各患者さんの状態に応じて、治療方法を相談しましょう。

なお、生物学的製剤やJAK阻害薬については、以下のサイトで比較ができます。

ステロイドはできれば飲みたくない、怖い

ステロイド(プレドニン®など)は副作用の多い薬剤ですが、関節リウマチの治療においては、必須のことがあります。(特に間質性肺炎などの、関節以外の症状を伴うとき。)
薬の必要性と、副作用の可能性を比較して、必要性が上回るため使用します。

ステロイドは確かに副作用の多い薬剤ですが、その力は非常に強力であり、治療において必須である場面も少なくありません。
使用するときは、できるだけ少量・短期間とし、早めの減量・終了を目指します。
主治医と、その必要性と、起きうる副作用について相談し、理解した上で使用していただくことが理想と考えます。

ステロイドについては、以下で説明しています。

薬はどれくらいで効いてくる?

関節の症状についていえば、
メトトレキサートなどは、効果がでるのに最速でも2週間程度、安定するのに2−3ヶ月を要することが多いです。
生物学的製剤やJAK阻害薬はそれよりも効果が出るのが早いことが多いとされていますが、個人差が大きいです。

いずれにしても個人差が大きく、予想することは難しいですが、関節の症状がひどいほど、改善するのに時間がかかることが多いです。

痛み止め(ロキソニン)だけではダメ?

痛み止めは痛みの症状を和らげますが、免疫の異常や関節の破壊を抑える薬ではありません。
そのため、関節リウマチの治療としては不充分です。

関節リウマチでは抗リウマチ薬といわれる薬剤が治療の中心です。

ロキソニン®・カロナール®などで、痛みが消えていたとしても、そのままでは関節の破壊が進むと考えられます。
必ず、適切なリウマチの治療を行うことが重要です。

お酒・タバコは大丈夫?

禁煙を強くおすすめします。
飲酒は
必ず禁酒しなければいけないわけではありませんが、様々な薬で肝臓の障害が出ることもあり、やめることが望ましいといえます。

喫煙は関節リウマチの発症や、治療効果の低下、肺・心血管系の合併症と関連するといわれています。そのため、リウマチをよくするためにも、禁煙することをおすすめしています。

飲酒は患者さんごとに、使用している薬や肝臓の調子によって判断が異なるため、普段の量と頻度を主治医に伝えて相談してください。

市販薬・サプリを一緒に飲んでも大丈夫?

市販薬やサプリによっても副作用が生じたり、リウマチの薬に悪影響を与えることがあるため、必ず主治医や薬剤師に相談しましょう。

今飲んでいる薬剤や、新しく始める前に、商品名や写真を医師・薬剤師に見せて確認してください。

ワクチンを打っても大丈夫?

多くは問題ないが、種類によっては打てないため、打つ前に必ず確認を!

ワクチンには大きく分けて2種類あり、打ってよいものと、打つべきではないものがあります。

ワクチンは、病原体に似た構造を体に入れることで、それに対する免疫をつけることを目的としています。この「病原体に似た構造」が、どの程度病原体に近いかによって種類が分かれます。

ワクチンの種類
  • 不活化ワクチン
    • 病原体そのものではなく、感染力をなくしたものや一部の成分を用いたワクチンであり、免疫抑制状態でも接種できることが多いです。
  • 生ワクチン
    • 病原体に近い性質を持つワクチンです。そのため、免疫を抑えている状態では接種できません。

結論として、関節リウマチに対して免疫抑制薬を使用している方は、ワクチンを接種することはできません。(不活化ワクチンはOK!)

大人になってから接種するワクチンの多くは不活化ワクチンです。そのため、多くは問題なく摂取が可能です。たとえば、インフルエンザワクチンや新型コロナウイルスワクチンは、基本的には問題なく接種できます。

生ワクチンには、麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜ、ロタウイルス、結核などがあります。これらは基本的には子どもで使用されることが多いワクチンです。また、帯状疱疹ワクチンのうち、ビケン®は生ワクチンであるため、免疫抑制薬を使用している方は接種できません。

一方、不活化ワクチンには、インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチン、肺炎球菌ワクチン、HPVワクチン、髄膜炎菌ワクチン、帯状疱疹ワクチンのシングリックス®、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチンなどがあります。これらは、免疫抑制薬を使用していても接種できることが多いワクチンです。

具体的なワクチンの種類
  • 不活化ワクチン ・・・免疫抑制薬を使用していても打てる
    • インフルエンザ
    • コロナウイルス
    • 肺炎球菌
    • HPV(ヒトパピローマウイルス)
    • 髄膜炎菌
    • 帯状疱疹(シングリックス®)
    • A型肝炎・B型肝炎
  • 生ワクチン ・・・免疫抑制薬を使用していると打てない
    • (基本的には、こどもしか使用しない)
    • 麻疹・風疹・水痘・おたふくかぜ・ロタウイルス・結核
    • 帯状疱疹(ビケン®)

むしろ、免疫が抑えられている方では、ワクチンによって感染症を予防することが望ましい

薬の種類や病状にもよりますが、インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチン、帯状疱疹ワクチン、肺炎球菌ワクチンなどは、接種が望ましいとされています。

ただし、帯状疱疹ワクチンには2種類あります。シングリックス®は不活化ワクチンであり、免疫抑制薬を使用している方でも接種できます。一方、ビケン®は生ワクチンであるため、免疫抑制薬を使用している方は接種できません。

自己注射の薬についての疑問

注射の方法について知りたい

自己注射の方法は、薬の種類によって多少の違いはありますが、大きな流れはほとんど変わりません。

製薬会社が、パンフレットや投与方法の動画を公開していることも多いため、使用する薬が決まったら確認してみるとよいでしょう。

実際には、ご自身で一度使ってみることが一番分かりやすいです。練習用のキットが用意されていることもありますので、不安がある場合には、医師や看護師に相談してみてください。

注射の針の太さはどれくらい?

採血よりもさらに細い針が使われる

自己注射で使用される針は、太さでいうと25〜29G程度です。Gはゲージと読み、数字が小さいほど針は太く、数字が大きいほど針は細くなります。

注射の針の太さ (数字が小さいほど太い)
  • 18〜20G ・・・献血は18Gが使われる
  • 22〜24G ・・・採血や点滴で最も広く使われている
  • 23〜25G ・・・予防接種の針
  • 25〜29G ・・・自己注射で使用する針  
  • 32G   ・・・インスリンなどで使用する針

このように、自己注射で使用する針は、注射針の中でもかなり細いものです。注射針は太いほど痛みを感じやすいため、針を刺すこと自体の痛みは比較的少ない部類に入ります。予防接種の針より細いことも多いです。

ただし、針を刺す痛みが少なくても、薬剤が皮下に入る瞬間には、ある程度の痛みを感じることがあります。この痛みは、予防接種のときに薬が入る感覚に似ています。

患者さんに伺うと、投与を続けるうちに慣れていく方が多い印象です。一方で、最初は痛みや注射への不安を強く感じる方も少なくありません。不安が強い場合には、無理をせず、医師や看護師に相談して練習しながら始めるとよいでしょう。

自己注射のやり方はどこで教えてもらえるのか

施設によるが、看護師などからお教えすることが多い

自己注射薬は、最初の数回は院内で看護師などからやり方を教わりながら投与することが多いです。そのうえで、ご自身で安全に使用できると判断されれば、通常の薬と同じように外来で処方してもらうことになります。

注射薬の使い方は?

薬の種類によって注射の仕方は少しずつ異なるため、実際に使用する薬ごとの説明書を参考にしてください。ただし、基本的な操作は共通しています。

(一般的な生物学的の投与方法・例としてアクテムラ®を示します) https://pat.actemra.j

STEP
薬を冷蔵庫から取り出し、室温に戻す

室温に戻す時間は薬によって異なりますが、30分から1時間程度が目安です。

STEP
注射する部分の皮膚を消毒

STEP
注射する

キャップを外し、注射器本体を握って、皮膚に押し当てます。

多くの自己注射キットでは、2回「カチッ」と音がし、確認窓が変化します。この間に薬が注入されます。音と確認窓の変化を確認してから、注射器を皮膚から離します

画像はサリルマブ、商品名ケブザラ®の例です。

注射はどこに打ったらいい?

自己注射を行う場所としては、お腹、太もも、二の腕が基本です

薬の種類によって扱い方は少しずつ異なりますが、基本的な注射部位は共通しています。

https://www.pmda.go.jp/RMP/www/780069/bb846bb1-f7d8-41b7-baef-3b1d3c90594f/780069_3999444G1022_03_001RMPm.pdf

お腹に注射する場合には、へその周囲5cmは避けてください。二の腕は、ご家族など他の方が注射する場合に使われる部位です。

注射する場所は、毎回ずらすことが重要です。同じ場所に繰り返し注射すると、皮膚が硬くなったり、腫れや痛みが出たりすることがあります。前回どこに打ったか忘れてしまう場合には、日記などに記録して、場所を変えるようにしましょう。

注射薬はどのように保管すればいい?

基本的に冷蔵庫で保存し、温度は2〜8℃が目安が多い

薬の種類によって薬の扱い方は少しずつ異なります。そのため、実際に使用する薬ごとの説明書を確認してください。ただし、基本的な保管方法は共通しています。

冷蔵庫に箱ごと保存し、冷凍庫には入れないようにしてください。また、室温で長時間保存することも避けてください。

注射の種類によっては、1回の外来で10本以上の量を持ち帰ることもあります。そのため、冷蔵庫のスペースを確保しておく必要がある場合もあります。

飛行機に持ち込んでも大丈夫?

自己注射キットや針は機内に持ち込めることが多いです。ただし、保安検査の際には、医療用の注射薬を持っていることを申し出た方がよいでしょう。

国際線では、基本的に100mLを超える液体は機内に持ち込めません。しかし、医療上必要な薬剤については、持ち込みが認められる場合が多いです。ただし、航空会社から保冷機器を借りられることは基本的にはないため、保冷方法は自分で準備する必要があります。

JALやANAでは、自己注射薬の機内持ち込みについて、医師の書類や診断書は不要とされています。

海外旅行に行っても大丈夫?

海外への薬の持ち出しは、基本的には可能です。

関節リウマチで使用する注射製剤については、日本側の許可は不要です。少なくともJALやANAでは、機内持ち込みが可能とされています。ただし、航空会社には事前に確認しておくことが理想です。

一方で、渡航先の国によっては、医師の診断書、事前の申請書、持ち込める薬の数の制限などがある場合があります。そのため、海外に薬を持って行く場合には、厚生労働省の海外渡航先への医薬品の携帯に関するページなどを確認するとよいでしょう。また、最も確実なのは、訪問先の在日外国公館に問い合わせることです。

注射薬はどのように捨てればいい?

お住まいの自治体の捨て方を参照してください。基本は病院で受け取ってもらえることが多いです。

使用後の注射キットは、基本的には処方された病院から廃棄袋を一緒に渡されます。その廃棄袋に入れて、外来受診の際に病院へ持参し、病院で廃棄してもらいましょう。家庭ごみとして捨てないようにしてください。

注射薬は痛い?

注射の針自体は採血よりもかなり細い。ただ注射したところが腫れたりすることはある。

注射の太さは、前述の通り以下のようになっています。

注射の針の太さ (数字が小さいほど太い)
  • 18〜20G ・・・献血は18Gが使われる
  • 22〜24G ・・・採血や点滴で最も広く使われている
  • 23〜25G ・・・予防接種の針
  • 25〜29G ・・・自己注射で使用する針  
  • 32G   ・・・インスリンなどで使用する針

私の経験では、最初は痛みを感じていた患者さんでも、3〜4回ほど続けるとかなり慣れてくる方が多いように思います。

ただし、あまりにも痛い場合や、注射した場所がかゆい、腫れる、赤くなるなどの症状がある場合には、我慢せず主治医に相談してください。

こんな時どうする

針を刺したところが出血したらどうすればいい?

血が出ているところをしっかり抑えて止血する

針が細いため、注射後に出血する可能性は高くありませんが、出血した場合にまず行うべきことは、圧迫止血です。これは、出血している部分を押さえて血を止める方法です。

もし出血した場合には、注射した場所を10秒ほどしっかり押さえてください。その後、一度確認し、それでも血がにじんでくるようであれば、さらに3分ほどその場所を押さえてみてください。

毎回血が止まりにくい場合や、止血に時間がかかって大変な場合には、主治医に相談してください。

自己注射の薬を「冷凍」してしまった

冷凍してしまった薬は、使用してはいけません。

一度冷凍してしまった薬は、仮に解凍したとしても使用しないでください。注射薬の多くはタンパク質でできているため、冷凍によって中の薬が変化してしまっている可能性があります。解凍しても、薬が元の状態に戻るわけではありません。

そのため、一度冷凍してしまった場合には、その薬は使用せず、主治医に連絡して新しい薬を処方してもらいましょう。

自己注射の薬を常温で放置してしまった

薬の種類によっては、ある程度の期間であれば、室温に置いていても使用できる場合がありますが、不安な場合は使用しない方が無難です。

室温で保存できる期間は薬によって異なります。また、一度室温に戻した薬を再び冷蔵してはいけない場合があります。

さらに、決められた温度より高い温度で保管してしまった場合には、薬が変性してしまう可能性があります。そのような場合には、使用しないでください。

たとえば、トシリズマブ(アクテムラ®)は、30℃以下であれば14日以内まで保存可能とされています

これらは、それぞれの薬剤の添付文書に基づく情報です。

このようなことが起きた場合、薬が足りなくなる可能性があります。そのため、主治医に連絡して、必要であれば外来の予約を取りましょう。

注射薬を落としてしまった

注射器を硬い床に落としてしまった場合や、強く振ってしまった場合には、その薬は使用しないでください。また、キャップを外した後に落としてしまった場合も、使用しないでください。

外見上は大きな変化がなくても、針や本体の内部に異常が起きている可能性があります。また、キャップを外した後に落とした場合には、針が汚染されている可能性があります。そのまま使用すると、感染症を起こす可能性があります。

薬が足りなくなる可能性がありますので、主治医に連絡して、必要であれば外来の予約を取りましょう。

投与し忘れてしまったときに、次に2回分打ってよいか

投与し忘れた場合でも、原則として、忘れた分を取り戻そうとして、1回に2回分を使用してはいけません。

1回で2回分を使用すると、免疫を抑える作用が強く出すぎてしまう可能性があるからです。

忘れたことに気がついたタイミングで投与するかどうかは、薬の種類や投与間隔によって異なります。そのため、ケースバイケースです。

たとえば、1ヶ月に1回投与する薬であれば、1週間程度ずれても大きな問題にならないことが多いです。一方で、1週間に1回投与する薬の場合、1週間程度ずれると、1回分の投与ができなくなってしまうことがあります。

いずれにしても、2〜3日程度ずれただけで大きな問題になることは少ないと考えられます。ただし、投与を忘れたことに気がついた場合には、次にいつ投与すればよいか、主治医に確認してください。

注射器が故障した・うまく作動しない

その注射器は使用せず、主治医に連絡しましょう。

たとえば、ボタンを押してもうまく作動しない、音が出ない、針が出ない、途中で止まって全量が入らない、本体やキャップにヒビがある、といった場合です。

このような場合には、薬が正しく投与されない可能性があります。また、主治医から製薬会社へ故障の事例を報告する必要がある場合もあります。そのため、自己判断で使い続けず、主治医に相談してください。

内視鏡検査や手術を予定しているが

基本的には手術を受ける前に主治医に相談が必要です。

胃カメラや大腸カメラ程度の検査であれば、基本的には薬剤を中止する必要はありません。

一方で、手術の場合には、一時的に薬を中止した方がよいことがあります。

薬を続けるか中止するかは、治療中の病気の状態、手術の大きさ、感染症のリスク、薬を止めることで病気が悪くなるリスクなどを総合的に考えて判断します。そのため、手術や検査を受ける予定がある場合には、必ず主治医に相談してください。

注射を失敗した

基本的には、注射器の確認窓が完全に変わっていれば、薬は投与されているため、問題ないことが多いです。一方で、確認窓が完全に変わっていない場合には、薬がうまく投与できていない可能性があります。

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カバーやキャップを外したときに、数滴ほど薬が漏れることがあります。この程度であれば、基本的には問題ありません。

ただし、明らかに注射器が破損している場合や、薬液が多く漏れている場合には、その注射器は使わないようにしましょう。また、注射器の故障や破損について、主治医に報告してください。

押し当てる時間が短かった場合や、斜めに打ってしまった場合などで、注射器の確認窓が完全に変わりきらなかったときには、薬がうまく投与できていない可能性があります。

途中になってしまった注射器は、再度使用しないでください。また、もう1本新しい薬を自己判断で代わりに投与しないでください。医師に連絡して、指示を仰ぐようにしましょう。

この場合も、途中になってしまった注射器は再度使用しないでください。また、もう1本新しい薬を自己判断で代わりに投与しないでください。医師に連絡して、指示を確認しましょう。

お金についての疑問

生物学的製剤やJAK阻害薬は高額であり、また使用方法や用量によって値段が大きく変わります。
分かりやすく検索できるツールを作成しましたので、参考にしてください。

治療費はどれくらいかかるの?

治療費は、薬の種類・使用量、注射か点滴か、検査の頻度、年齢や自己負担割合によって大きく異なります。
メトトレキサートなど従来型の抗リウマチ薬は比較的低額ですが、生物学的製剤やJAK阻害薬では負担が大きくなることがあります。

一つの目安として、生物学的製剤は医療保険の3割負担で月2万~3万円台となる場合が多いです。
これに診察料、検査料、処方料、ほかの薬の費用などが加わります。
実際の金額は薬剤や体重、投与間隔などで変わるため、治療を始める前に医師・薬剤師へ「1か月あたりの概算」を確認しましょう。

また以下のツールも参考にしてください。

難病の制度は使える?

通常の関節リウマチは指定難病ではないため、指定難病の医療費助成は原則として利用できません

一方、関節リウマチに血管炎などの重い関節外症状を伴う「悪性関節リウマチ」は、指定難病に設定されています。
ただし、関節の変形や機能低下が強いという理由だけで悪性関節リウマチになるわけではなく、診断基準と重症度などの条件を満たす必要があります。

基本的には主治医に臨床調査個人票という書類を提出し、記載してもらうことが、難病申請に必要になります。

高額療養費制度は使える?

条件を満たせば利用できます。

病名によって決まる制度ではなく、1か月(1日から末日)に支払う保険診療の自己負担が、年齢・所得に応じた上限を超えた場合に、超過分が支給される制度です。

同じ医療保険に入る家族の自己負担を合算できる場合や、直近12か月に繰り返し上限を超えると「多数回該当」で上限が下がる場合もあります。

詳しくは、主治医や、病院の受付などに相談してみましょう。

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この記事を書いた人

専門:膠原病リウマチ内科、内科
資格・所属:医師(MD) 
日本内科学会・日本リウマチ学会所属・大学病院勤務
患者さんから、(主に若手の)リウマチ科医師まで、膠原病・内科について広く知ってもらうことを目標にしています。皆さんで作っていくブログにしたいと考えていますので、お問い合わせフォームより、なんでも気軽にご相談・ご質問ください!

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