全身性エリテマトーデスかもしれない、全身性エリテマトーデスと診断された。そんな不安を抱える患者さんたちのための、「治療」についてをまとめたページです。
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全身性エリテマトーデスについて
免疫の異常のせいで、皮膚・関節・腎臓・神経など全身の様々な臓器に異常がでる病気。
人によって同じ病気でも症状が大きく異なる。
免疫とは、 体を外敵から守る機能 のことです。
例えば、インフルエンザになっても、多くは1週間程度で自然に改善しますよね。これは免疫がインフルエンザを攻撃して体を守ってくれている証拠です。
しかし、この免疫が時として自分を敵と認識して、攻撃してしまうことがあります。
このような病気を、自己免疫疾患・膠原病(こうげんびょう)と呼びます。
そのため、SLEをはじめとした膠原病の治療の基本は、「免疫抑制薬」をつかって、自分の暴れる免疫を抑えることです。


SLE治療の目標
病院に通院し薬は使用しつつも、他の人と変わらずに生活できること が目標です。
(残念ながら病院に通院しなくてもよくなることは難しい)
残念ながら膠原病は、一部を除いて、治療が一切必要なくなるということは現代の医学では難しいです。
昔はプレドニン®(ステロイド)が治療の中心であり、その副作用が大きな問題になっていました。
近年では、ステロイド以外の免疫抑制薬が発達し、ステロイドを減らしても元の病気が悪くなることなく、治療が進められることができるようになってきました。
したがって、現代のSLEの治療の目標は
- 病気が安定しており、
- 薬の副作用が少なく、
- プレドニン®(ステロイド)ができるだけ少ない状態 を目指すことです。
SLEの治療のコンセプト・方針
全身性エリテマトーデス(SLE)は、膠原病(自分の免疫が自分を攻撃してしまう病気)のため、
免疫「調整」薬・免疫「抑制」薬 をつかって、異常な免疫を抑えることが治療のコンセプトです。
まずは強い免疫抑制薬をしっかりと使って、病気の勢いを抑えます。
その後、病気の勢いが抑えられたら、うまく免疫抑制の力を調整しつつ、病気が悪くならないように抑え続けます。


SLE治療の具体的な流れ
プラケニル®は、問題がなければSLEの患者さん全員に使用が推奨される薬です。
- SLEによる臓器の障害を抑制する効果があります。
- SLEの患者さんの、生命予後を改善する効果があります。
- SLEの再燃(1度よくなったSLEが悪くなること)を抑制する効果があります。
- 目の網膜に障害(網膜症)を起こすことがあります
- もともと網膜に異常がある方は使用できないことがあります
- そのため、内服しているすべての方が、定期的な眼科の受診が必要(1年ごと)です。
- 他に副作用がいくつかあります
- 消化に関わる症状
- 気持ちが悪い、お腹が痛い、下痢など。
- 投与し始めて1週間後が最も多いです
- 慣れることも多いため、しばらくは内服を継続していただくこともあります。(それだけメリットが大きいため)
- 皮膚の症状(薬疹)
- 投与し始めて1ヶ月以内が多いです。
- 他にも不整脈・低血糖・色素沈着・血小板減少などの副作用があります。
- 消化に関わる症状
- 即効性はありません(効果がでるまで1−2ヶ月かかり、完全には半年程度かかることもある)
SLEの治療は、主には以下の要素で決まります。
- どのような臓器の問題があるか
- その臓器障害の程度がどれほどか
SLEは全身に様々な症状を来す病気なので、人によって治療方針は大きく異なることになります。
SLEのガイドラインをみてみましょう。
EULAR(ヨーロッパリウマチ学会作成)の治療ガイドライン(2023)
上にMild(軽症)・Moderate(中等症)・Sever(重症)の記載があり、下に具体的な薬の名前が書かれています。
このように重要度に分かれた薬の推奨が示されています。


日本リウマチ学会作成の診療ガイドライン(2019)
こちらは日本リウマチ学会が作成するSLEのガイドラインです。
臓器の障害によって、治療の推奨が異なることが分かります。(LN・・・ループス腎炎・NPSLE・・・神経精神ループスなど)


このように、SLEによってどのような問題があるか、またそれがどの程度か、によって治療を選択することが推奨されています。
しかし、それぞれの臓器障害の程度の評価に絶対的な基準があるわけではなく、治療選択は医師の経験によるところが大きいことも事実です。
ステロイド(プレドニン®)は副作用が非常に多い薬剤です。
しかし、膠原病を抑える力・スピードはピカイチです。
残念ながらステロイドなしには治療できない状況が多いのが現状です。
そのため、必要があれば、まずはしっかりステロイドを使い、安定したら徐々に減量していきます。
(ステロイドを使わなくていい場合もあります)


まずはプレドニンをしっかり使い、徐々に減量していく。
(プレドニンを使わなくていい場合もあります)


ステロイド(プレドニン®)は必要な時にはしっかりと使い、その後は免疫抑制薬を使いつつステロイド(プレドニン®)を徐々に減量していく、という作戦がとられます。
減量のスピードはさまざまですが、最初は1〜2週間程度で、5〜10mg(1〜2錠)で減らしていきます。
免疫抑制薬とは、ここではステロイド以外で免疫を抑える薬をさします。
内服・注射のタイプの薬があります。
- リウマトレックス®(メトトレキサート)
- セルセプト®(ミコフェノール酸モフェチル)
- プログラフ®(タクロリムス)
- ネオーラル®(シクロスポリン)
- ルプキネス®(ボクロスポリン)
- アザニン®(アザチオプリン)
- エンドキサン®(シクロホスファミド)
- リツキサン®(リツキシマブ)
- ベンリスタ®(ベリムマブ)
- サフネロー®(アニフロルマブ)
(以下の薬は、添付文書上は記載がなかったり、日本では健康保険に収載されていない薬剤も含まれます)
病院に通院し薬は使用しつつも、他の人と変わらずに生活できること が目標です。
目標を達成できる方は、ある研究では50%程度の方は、2年半の間に目標を達成できる可能性があるといわれています。しかし、その後もそれを維持できる方は少なく、維持できる人は4人〜3人に1人程度と考えられています。(それ以外の人は再燃や薬の副作用がでているということになります。)
また、目標達成までの時間も、1年〜1年半程度が平均的ですが、人によって非常に幅があります。
(目標=DORIS寛解として記載。Rare Dis Orphan Drugs J. 2025;4:28.など)


まとめ
全身性エリテマトーデスの治療の、目標・コンセプト・具体的な流れについて説明しました。
治療は複雑で長期にわたるからこそ、その意味や方針を患者さんが十分に理解することが重要と考えます。
主治医と相談しつつ、お互いが納得して病気に立ち向かっていきましょう。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。
個々の患者さんの診断・治療方針は、病状、検査結果、併存疾患、使用中の薬剤などによって異なります。
実際の診療判断は、必ず主治医または医療機関にご相談ください。
























