SLE患者さんが妊娠する場合には、妊娠に伴う原病の増悪、薬剤の調整、抗リン脂質抗体症候群(APS)の合併などが問題になります。
APSは、「リン脂質とタンパク質の複合体」に対する自己抗体を背景として、静脈・動脈血栓症、妊娠合併症(反復流産・子宮内胎児死亡・重症の妊娠高血圧腎症や胎盤機能不全による早産)を特徴とする疾患です。
APSの検査では、LA(ループスアンチコアグラント)、自己抗体(抗リン脂質抗体・aPLs)として、抗カルジオリピン抗体IgG/IgM・抗β2グリコプロテインI抗体IgG/IgMなどが存在しますが、SLEの妊婦におけるこれらの臨床的意義は充分に検討されていません。
今回は、SLE妊婦における、APSの自己抗体(抗リン脂質抗体・aPLs)のプロファイルの妊娠転帰への影響を調べた論文です。
注意点として、SLEにおけるAPS合併例とは限りません。aPLsのプロファイルごとに調べただけで、血栓症など臨床所見を伴うかは必要ではありません。
抗体の詳細な解説は以下の記事を参照ください。

Prognostic value of antiphospholipid antibodies in pregnancy outcomes in systemic lupus erythematosus
RMD Open 2026;12:e006870.
背景・目的
先行研究について整理します。
SLE における aPLs と妊娠転帰との関連については、研究者による多くの試みがなされてきた。研究集団、サンプルサイズ、APOs の定義、aPLs の測定法が研究間で異質であったことに影響された可能性があり、結論は一致していない。
異なる aPLs プロファイルをもつ患者が異なる妊娠転帰を示すことはデータで示されているが、この関連は SLE においては十分に検討されていない。
本研究は、中国の北京協和医院(Peking Union Medical College Hospital, PUMCH)SLEコホートのデータを解析し、SLE 患者の妊娠転帰に対するaPLsの影響を明らかにするとともに、異なる aPLs プロファイルごと効果を評価することを目的とした。
材料と方法
データソースと対象集団
本研究は、PUMCH のリウマチ・臨床免疫科において 2013年1月から 2024年1月にかけて実施された単施設コホート研究である。
全患者は、1997年改訂 米国リウマチ学会(American College of Rheumatology, ACR)基準、2012年 Systemic Lupus International Collaborating Clinics(SLICC)基準、または 2019年 欧州リウマチ学会(European Alliance of Associations for Rheumatology, EULAR)/ACR 基準のいずれかを満たしていた。本研究では、この期間に生じた妊娠のデータを解析した。
- 単胎の子宮内妊娠であること
- 受胎前に 12週以上の間隔をあけて抗リン脂質抗体検査を最低2回受けていること
- 受胎3か月前から妊娠第1三半期までの追跡があること
- 妊娠転帰が記録されていること
- 人工妊娠中絶(elective termination)を受けた患者は本研究から除外した。
データ収集
有害妊娠転帰(Adverse Pregnancy Outcomes, APOs)は、以下のいずれか1つ以上を有するものと定義した。
- 胎芽死亡(prefetal death)
- 染色体異常、解剖学的奇形、先天感染では説明されない、妊娠10週0日未満の妊娠喪失。
- 胎児死亡(fetal death)
- 染色体異常、解剖学的奇形、先天感染、妊娠高血圧腎症、または胎盤機能不全では説明されない、妊娠10週0日から33週6日の間の妊娠喪失。
- 妊娠34週0日未満の、重症徴候を伴う妊娠高血圧腎症
- 妊娠34週0日未満の、重症徴候を伴う胎盤機能不全
- 子宮内胎児発育不全(胎児新生児症候群や遺伝性疾患がない状況で、推定胎児体重または出生体重が在胎週数の10パーセンタイル未満)に加えて、以下の重症徴候を1つ以上伴うものと定義
- 異常または non-reassuring な胎児健常性評価検査
- 胎児低酸素血症を示唆する異常なドプラ血流速度波形
- 羊水過少
- 高度の子宮内胎児発育不全(推定胎児体重または出生体重が在胎週数の3パーセンタイル未満)
- 胎盤組織における母体血管灌流不全(maternal vascular malperfusion)
- 子宮内胎児発育不全(胎児新生児症候群や遺伝性疾患がない状況で、推定胎児体重または出生体重が在胎週数の10パーセンタイル未満)に加えて、以下の重症徴候を1つ以上伴うものと定義
ディップ先生本論文のAPOの定義は2023年ACR/EULAR基準をほぼ踏襲しています。ただACR/EULARでは、10週以降の胎児死亡は連続して3回必要ですが、本研究では1回で満たします。分類基準は連続3回として特異度を高めている一方、APOについては1回でも重大な結果として考えているという違いと思います。
Sapporo基準・Sydney改訂と比べてみると
a. 妊娠10週以降でほかに原因のない正常形態胎児の死亡
b. 子癇、重症の妊娠高血圧腎症(severe pre-eclampsia)、または胎盤機能不全による、形態学的に正常な新生児の妊娠34週未満の1回以上の早産
c. 形態学的、内分泌学的および染色体異常のない習慣流産 となっています。
そのため、a≒②、b≒③④におおよそ当たります。反復流産は入っていませんが、①で10週未満の流産は1回でもカウントされます。
臨床症状は、受胎前に一度でも認められていれば陽性と定義した。皮膚粘膜病変、関節炎、漿膜炎、ループス腎炎、神経精神ループス、血液学的病変、血栓症などを含む。
ベースライン時に 2006年シドニー改訂分類基準を満たした患者は、二次性抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome, APS)と診断した。受胎時の SLE 活動性は SLE Disease Activity Index 2000(SLEDAI-2K)で評価した。本研究で評価した自己抗体は、抗dsDNA抗体、抗Sm抗体、抗RNP抗体、抗SSA 抗体、抗SSB 抗体、および抗リボソームP蛋白(rRNP)抗体である。抗dsDNA 抗体は Crithidia luciliae を基質とする蛍光抗体法により検出した。


主要評価項目は複合 APOs である。
副次評価項目は、生児が得られなかった割合、分娩時の妊娠週数、出生体重、分娩様式、および各種の APOとした。
抗リン脂質抗体の測定
- 本研究では 5つのaPLsアイソタイプ、すなわち aCL IgG 抗体、aCL IgM 抗体、抗β2GPI IgG 抗体、抗β2GPI IgM 抗体、LA を測定した。
- aPLs の測定は、国際血栓止血学会(ISTH)のLA/aPLs に関する科学標準化委員会のガイダンスに準拠した。
- LA
- 活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)法および希釈ラッセル蛇毒時間(dRVVT)法を用いた。
- LA 陽性は、aPTT 比 >1.20 または dRVVT 比 >1.20 と定義した。
- aCL および抗β2GPI 抗体の測定
- ELISA(Euroimmun、Lübeck)を用いた。製造元の指示に従い、aCL または抗β2GPI 抗体の陽性は IgG・IgM いずれについても力価 20 U/mL 超と定義した。中等度力価は 40〜79 U/mL、高力価は 80 U/mL 以上と定義した。
- 分類基準の中等度力価(40単位以上)より低く設定(分類基準は特異度が高いという点はある)
- LA
- 2006年シドニー基準に従い、aPLs は、少なくとも1つの aPL アイソタイプが 12週以上の間隔をあけた2回以上の機会に検出された場合に陽性と定義した。
- 2019年 EULAR 推奨に従い、高リスク aPLs プロファイルは以下の少なくとも1つを満たすものと定義した。
- LA 陽性
- aCL または抗β2GPI 抗体の持続的な高力価
- Double positive(LA、aCL、抗β2GPI 抗体の任意の組み合わせ)
- Triple positive
結果
参加者のベースライン特性
- SLE 患者 410 例に生じた単胎妊娠 441例が最終的に解析に組み入れられた。
- このうち 78 例(17.9%)は aPLs 陽性患者の妊娠だった。




- aPLs 陽性の SLE 患者では血栓症の既往の頻度が高かった(7.7% 対 1.4%、p=0.004)
- 皮膚粘膜病変(56.4% 対 75.2%、p=0.001)およびループス腎炎(25.6% 対 44.1%、p=0.004)は少なかった。
- APS と診断された 31 例のうち、9例が血栓性 APS、22例が産科的 APS であった。
- SLEDAI-2K で評価した受胎時の疾患活動性は概ね両群で同等だったが、血小板減少(14.1% 対 3.0%、p<0.001)は aPLs 陽性群でより高頻度であった。
- 自己抗体については、aPLs 陽性患者では抗Sm 抗体(13.0% 対 25.6%、p=0.027)および抗RNP 抗体(28.6% 対 41.9%、p=0.040)の陽性頻度が低かった。
- グルココルチコイドおよび免疫抑制薬の使用状況は両群で同様であったが、aPLs 陽性患者では低用量アスピリン(88.5% 対 47.7%、p<0.001)および低分子ヘパリン(48.7% 対 8.8%、p<0.001)が投与されている頻度が高かった。



抗Sm抗体が少ない点は、APS合併SLEの特徴というよりは、SLEと分類する上で、APS抗体が陽性のため、これが陰性でも分類可能になっているためという可能性があります。
皮膚症状や腎炎についても、同様の可能性があります。
また単施設の研究のため、その影響もありえます。
なお日本では、低分子ヘパリンより未分画ヘパリンの自己注射が用いられます。
抗リン脂質抗体プロファイル


- aPLs 陽性の78妊娠のうち、49例(62.8%)が aCL 陽性
- 55 例(70.5%)が LA 陽性で最多。aCL IgG が 45 例(57.7%)、aCL IgM が14例(17.9%)、抗β2GPI 抗体は 56.4%(n=44)、IgG が 33 例(42.3%)、IgM が 27 例(34.6%)であった。
- 12 例(15.4%)が低リスク aPLs プロファイル、66 例(84.6%)が高リスク aPLs プロファイルであった。
結果


APOs は aPLs 陽性患者でより高頻度に発生した(29.5% 対 13.2%、p=0.001)。
- aPLs陽性患者で有意に上昇
- 胎児死亡(7.7% 対 2.5%、p=0.050)
- 胎盤機能不全(14.1% 対 6.6%、p=0.047)
- 数値上の上昇
- 胎芽死亡(6.4% 対 3.9%、p=0.484)
- 妊娠高血圧腎症(6.4% 対 3.0%、p=0.265)
- aPLs 陽性患者は他群に比べて生児の出生に至る割合が低かった(80.8% 対 90.4%、p=0.026)
- 分娩時の妊娠週数、出生体重、帝王切開率は概ね両群で同等であった。
aPLs が妊娠転帰に及ぼす影響


aPLs が妊娠転帰に及ぼす影響を明らかにするため Cox 回帰分析を行ったところ、aPLs 陽性患者は APOs をより高頻度に経験し、HR は 2.43(95%CI 1.48〜3.99、p<0.001)だった。


- 多変量ロジスティック回帰分析を行った
- 一般に認められている妊娠転帰の予測因子、すなわち APO の既往、ループス腎炎、ベースラインの臨床的活動性、受胎時のプレドニゾン換算 7.5 mg/日超のグルココルチコイド使用、およびヒドロキシクロロキン非使用で調整した。
- 共変量調整後、APOs のORは、2.56(95%CI 1.38〜4.65、p=0.001)
- 生児が得られなかった割合に対する OR は 2.54(95%CI 1.22〜5.15、p=0.011)であった。
- APO の種類別
- aPLs陽性は胎児死亡に有意な影響を示した(OR 3.87、95%CI 1.17〜12.19、p=0.021)
- 胎芽死亡(OR 1.77、95%CI 0.53〜5.06、p=0.313)
- 妊娠高血圧腎症(OR 1.96、95%CI 0.56〜6.10、p=0.262)
- 胎盤機能不全(OR 1.89、95%CI 0.82〜4.14、p=0.121)には示さず。
- 感度解析として、上記の共変量に加えて低用量アスピリンの使用と低分子ヘパリンの使用を追加で調整した。APOs(2.56 → 2.63)、胎児死亡(3.87 → 4.78)、生児出生の失敗(2.54 → 3.19)の OR はいずれもわずかに上昇した。



ロジスティック回帰分析では、イベント1件あたりに投入できる変数の適切な数があります。
イベント数÷パラメータ数が10以上になるようにするのが一つの目安です。 J Clin Epidemiol 1996;49:1373-9
本論文では複合APO(主要評価項目)はイベント数が71例あり、パラメータ数が5〜7個あるため満たしますが、それ以外の評価されている項目はパラメータ過多で、参考値として解釈するべきと考えます。


- aPLs のアイソタイプごと
- aCL IgG(OR 3.02、95%CI 1.44〜6.15、p=0.003)
- 抗β2GPI IgG(OR 2.60、95%CI 1.13〜5.72、p=0.020)
- LA(OR 2.85、95%CI 1.44〜5.56、p=0.002)
- aCL IgM(OR 1.93、95%CI 0.49〜6.30、p=0.302)
- 抗β2GPI IgM(OR 1.78、95%CI 0.65〜4.36、p=0.229)
- aPLs の力価は APOs の発生と関連するようにはみえず、これは aCL、抗β2GPI 抗体、aPLs の IgG アイソタイプ、IgM アイソタイプのいずれで評価しても同様であった。
- 2019年 EULAR 推奨よるaPLs のリスクレベル
- 高リスク aPLs プロファイルが APOs のリスクを有意に上昇させた(OR 2.89、95%CI 1.51〜5.44、p=0.001)
- 低リスクプロファイルでは上昇しなかった(OR 0.96、95%CI 0.14〜3.90、p=0.963)
- aPLs の APOs に対する有害な影響は、陽性 aPLs の数のみでは十分に区別できなかった
- single positive・double・tripleの OR はそれぞれ 1.88(95%CI 0.78〜4.24、p=0.140)、2.42(95%CI 0.81〜6.44、p=0.090)、2.31(95%CI 0.86〜5.83、p=0.083)であった。
- LA と aPLs の IgG アイソタイプが APOs に最も有意な影響を示したことから、LA、IgG アイソタイプ、IgM アイソタイプの陽性の組み合わせに基づくさらなるリスク層別化を行い多変量ロジスティック回帰分析を行った。
- LA 陽性かつ IgG アイソタイプ陽性の患者が最も高い APOs リスクを示した(OR 3.98、95%CI 1.66〜9.35、p=0.002)
- LA 陽性+ IgG アイソタイプ陰性の患者(OR 1.92、95%CI 0.65〜5.04、p=0.204)
- IgG アイソタイプ陽性+ LA 陰性の患者(OR 2.13、95%CI 0.57〜6.55、p=0.214)
- IgM アイソタイプ単独陽性は APOs の発生に影響しないようであった(OR 0.96、95%CI 0.05〜6.18、p=0.972)。


- Cox 回帰分析でも同様の結果が得られた
- aPLs 陰性の患者と比較して、LA 陽性かつ IgG アイソタイプ陽性(Group 1)は APOs の発生に有意な影響を及ぼした(HR 3.23、95%CI 1.72〜6.09、p<0.001)が、それ以外の aPLs 陽性の組み合わせでは有意ではなかった(HR 1.91、95%CI 0.99〜3.67、p=0.054)。



かなりの数の検定が行われていますが、多重検定の統計学的処理について本文中に記載はありません。
Type 1 errorの恐れがあり、記載されている検定の結果をすべて統計学的に意義があると解釈していいかは不明です。
また、IgMのアイソタイプは症例数が少なく、95%信頼区間が非常に高いため、これだけで差がない・差があるとはいえません。
考察
- 結果のまとめ
- 中国単施設の SLE コホートにおいて、2013年1月から2024年1月に収集された 410 例の患者に生じた 441 妊娠のデータに基づき、我々は aPLs が SLE における APOs 発生の独立した危険因子であることを明らかにした。
- LA に aCL および/または抗β2GPI 抗体の IgG アイソタイプが加わったプロファイルが、最も有意な影響を示した。
- 患者背景について
- 本コホートにおける aPLs 陽性率は、一般の SLE 集団を対象とした他の研究の報告より低かったが、SLE 妊娠患者を対象とした他の研究の報告とは同等であった。
- この結果は、aPLs 陽性の SLE 患者が妊娠に対してより慎重になっている可能性を示唆しており、そのために aPLs の有害な影響が過小評価されている可能性がある。
- 先行研究との違い
- SLE 患者における aPLs の妊娠への影響は先行研究でほとんど検討されておらず、結果も概ね一致していなかった。我々の結果と一致して aPLs と APOs の強い関連を示した研究がある一方、他の2つの研究は有意な関連ではなかった。
- これらの相違は、研究集団、APOs の定義、aPLsの測定法の違いに起因する可能性がある。
- 一般に、先行研究では aPLs の検出方法がほとんど報告されておらず、結果の解釈に大きなばらつきをもたらしうる。本研究は ISTH ガイドラインに準拠した標準化された aPLs 検査を採用した。また、aPLs の測定と解釈は単一施設で行われた。これらは本研究の結果の信頼性を高めている。
- 本研究で観察された LA の妊娠転帰に対する有害な影響は、先行文献でも一貫して認識されている。この結果は LA 陽性の重要性をさらに強調するものである。
- さらに、これまで特徴づけられていなかった aPLs の IgGアイソタイプの重要性が、本研究によって認識された。さらなるリスク層別化については先行研究ではほとんど行われていないが、我々の解析により、LA に aCL および/または抗β2GPI 抗体の IgG アイソタイプが加わったプロファイルが最も有意な影響を示すことが明らかになった。
- 機序について
- 本研究以前にも、aPLs が APOs を媒介する機序は検討されており、栄養膜細胞(トロホブラスト)に対する多様な有害作用が示されてきた。
- 先行研究
- aPLs 陽性患者の血清が胎盤の成長を阻害し、栄養膜細胞のアポトーシスを誘導しうることが示唆されている。 Lupus 2007;16:110–20.
- 細胞性栄養膜細胞(cytotrophoblast)の融合が抗β2GPI 抗体により Toll 様受容体4(TLR4)を介して阻害され、TLR4 を遮断すると融合が回復することが示唆されている。J Thromb Haemost 2014;12:910–20.
- 栄養膜細胞の遊走については、抗β2GPI 抗体が栄養膜細胞の IL-6 分泌を低下させ、STAT3 の活性化を減弱させることで、最終的に細胞遊走の抑制につながりうる。Am J Reprod Immunol 2010;63:339–48.
- 栄養膜細胞の血管新生因子の分泌が抗β2GPI 抗体によって乱され、血管内皮増殖因子(VEGF)、胎盤増殖因子(PlGF)、可溶性エンドグリンの上昇として現れることが示唆されており、これは血管の発生とリモデリングを妨げうる。(あくまでin vtroの研究ですが) Am J Reprod Immunol 2011;66:286–96.
- aPLs がヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)分泌に及ぼす影響も複数の研究で証明されており、これが胎盤形成不全(defective placentation)をもたらす可能性がある。 Ann Rheum Dis 2005;64:462–7.
- aPLs は補体系を活性化して胎盤への補体沈着を促進し、脱落膜炎、絨毛梗塞、脱落膜血管症といった胎盤傷害に寄与しうる。 Am J Reprod Immunol 2019;82:e13185.・Am J Obstet Gynecol 2007;196:167.e1-5・J Pathol 2011;225:502–11.
- β2GPI が栄養膜細胞上に発現していることから、多くの機序研究が主に抗β2GPI 抗体に焦点を当ててきた点には留意すべきである。我々の解析では、aPLs の IgG アイソタイプと LA がより顕著な有害作用を示した。したがって、これらがどのように APOs を媒介するのかについては、今後さらなる検討を要する。
- aPLs陽性のSLE患者の臨床的管理について
- 現時点で、aPLs陽性のSLE 患者の臨床管理に関する質の高い臨床エビデンスは依然として不足している。
- 先行研究
- ある観察研究(n=49)は、低用量アスピリンが胎児発育不全のリスクを低下させうると示した。
- 小規模なランダム化比較試験(n=19)および 139 妊娠を対象とした観察研究は、低リスクのaPLs 陽性の 低用量アスピリンの有益性を認めなかった。 Am J Obstet Gynecol 1997;176:1099–100.・J Rheumatol 2013;40:425–9.
- ガイドラインは一般にこれらの患者に低用量アスピリンを推奨している。
- 我々のコホートでは、aPLs 陽性の SLE 患者のほぼ 90% が低用量アスピリンを服用していたため、この治療が予後を改善するかどうかを検討することは事実上不能であった。抗凝固療法については、ヘパリンが栄養膜細胞に対する aPLs の病原性作用を打ち消せないことが複数の機序研究で確認されている。
- この治療が aPLs 陽性の SLE 患者において APOs や生児の出生の面で有益となりうるかは、今後の検討課題である。
- 本研究の限界
- 一部の症例で妊娠転帰が欠測しており、バイアスをもたらした可能性がある。
- 新生児の詳細な情報がコホートに記録されておらず、aPLs が新生児の状態に及ぼす影響の深い検討ができなかった。
- 最後に、本コホートは中国人参加者のみを対象とし単施設で実施されたため、中国人集団を超えた一般化可能性についてはさらなる検証を要する。



APSのaCL・抗β2GPI 抗体は測定方法による違いが大きいことが知られ、問題になっています。
上述の通りELISAによる測定がスタンダードとされますが、本邦ではELISAによる測定が保険適応でできません。よく使用されるAPSパネルはELISAではありません。
結論
本研究は、aPLs 陽性の SLE 患者、特にLA + aCL および/または抗β2GPI 抗体の IgGアイソタイプを合わせもつ患者において、APOsのリスクが上昇することを示した。
本研究の知見は、aPLs 陽性の SLE 患者におけるリスク層別化と個別化管理の重要性を強調するものであり、良好な妊娠転帰を得るためには、LA にaCL および/または抗β2GPI 抗体の IgGアイソタイプを合わせもつ症例により注意を向けるべきである。
質問、ご指摘はコメント欄へお願い致します。











