ベーチェット病かもしれない、ベーチェット病と診断された。そんな不安を抱える患者さんたちのための、病気についてをまとめたページです。
ベーチェット病は、1937年にトルコの皮膚科医であるフルシ・ベーチェット(Hulusi Behçet)医師が報告したことから、この名前がついています。英語ではBehçet病、Behçet’s diseaseと記載します。カルテなどで「BD」と略されることもあります。
膠原病リウマチ内科医である筆者が、実臨床で患者さんから受けた質問や、知っておいた方がよいことを中心にまとめています。
ベーチェット病の
治療から調べる
ベーチェット病について知る
ベーチェット病ってどんな病気?
免疫の異常のせいで、口内炎・皮膚・目・陰部を中心に、体のあちこちに炎症の「発作」を繰り返す病気。 20〜40歳代の発症が多く、男女差はほとんどないが、重症化するのは男性が多い。
繰り返す痛い口内炎(医学用語では口腔内アフタ性潰瘍と呼ぶ)が最も多い症状(ほぼ必ずある)で、典型的なベーチェット病では、皮膚症状・目の症状・陰部の潰瘍が起きます。
さらに、腸・血管・神経に病変が及ぶことがあり、この場合は「特殊型」と呼ばれ、治療の内容も大きく変わってきます。(正確には、「完全型」「不全型」の診断がついた上で、上記に病変がある場合。)
この検査をやればベーチェット病かどうか分かる、という病気ではなく、症状や検査でベーチェット病らしい結果で、かつほかの病気ではないことが分かって初めて診断できる病気です。
例えば、口内炎は普通の人でも起きますよね。その中でも、そういった症状がベーチェット病に由来するかどうかを確認するためには、様々な検査が必要ですし、人によってはそれでもしっかり診断がつかないということはあります。
ベーチェット病のように、自分の免疫が自分を攻撃してしまう病気のことを、膠原病と呼びます。
ただし、ベーチェット病は他の膠原病とは少し性格が異なり、自己抗体(自分を攻撃する抗体)が分かっていないことなどから、抗体によって引き起こされる病気ではないと考えられています。

ベーチェット病の患者さんの数
日本では、指定難病の医療費受給者証をお持ちの方が約1万5千人とされています(令和元年度で14,736人)。
日本は世界的にみるとベーチェット病が多い国です。
- 発症しやすい年齢:20〜40歳代(30歳代前半がピーク)
- 男女比:ほぼ同数(かつては男性に多いとされていましたが、近年は差がないとされています)
- ただし、目の病変・血管病変・神経病変などの重症な病型は男性に多い傾向があります
出典:難病情報センター「ベーチェット病(指定難病56)」
ベーチェット病は指定難病?
ベーチェット病は指定難病です。
難病申請には難病指定医による臨床調査個人票が必要です。詳細は主治医にご相談ください。
診断基準を満たし、重症度基準を満たす場合に、医療費助成の対象となります。
ベーチェット病は重症度基準を満たす方が比較的多い病気で、ベーチェット病らしい症状があり、虹彩毛様体炎(「ぶどう膜炎」の一つ)や関節炎があると、重症度を満たします。
詳しくは以下のリンクを参照してください。
ベーチェット病になる原因
原因は明確には分かっていません。
遺伝的要因と、環境要因の2つの原因があわさったときに発症しやすいと考えられています。
遺伝的要因
遺伝的要因とは、ベーチェット病になりやすい体質のことです。ベーチェット病の患者さんでは、HLA-B51という白血球の型(遺伝子のタイプ)を持つ方が多いことが知られています。(ベーチェット病患者さんの約60%がHLA-B51陽性・HLA-A26も約30%で陽性)
このことから、ある遺伝子を持つ方ではベーチェット病を発症しやすいのではないかと考えられています。
注意点としては、HLA-B51が陽性だからといって、ベーチェット病とは限らないということです。
日本人のうち、15−20%程度は HLA-B51を持っています。
でもベーチェット病の方は割合としては1万人に1人程度です。そのため遺伝的要因だけで、病気になるわけではありません。
環境要因
口の中の細菌(連鎖球菌など)や、歯周病・虫歯といった口腔内の環境が、発症や症状の悪化に関わっているのではないかと考えられています。
実際、抜歯や歯科処置のあとに症状が悪化する患者さんがいることも知られています。
遺伝する?
「遺伝的要因」と聞くと不安になる方が多いのですが、ベーチェット病は親から子へ直接遺伝する病気ではありません。
家族内で発症する例は数%程度と報告されており、大部分の方はご家族に患者さんがいません。
症状について
ベーチェット病は、口内炎を起こすことが多いですが、それ以外でも全身のさまざまな臓器が障害されます。
その症状は、多くのベーチェット病の患者さんに出現する主症状(4つ)と、一部の患者さんに出現する副症状(5つ)に分けられます。(日本の診断基準の分け方を踏襲)
また、これらの症状には特徴が二つあります。
- 症状が同時にそろって出るとは限らないです。
- 口内炎だけが数年間続き、あとから目の症状が出てくる、といった経過はよくあります。
- 「発作」と「落ち着いている時期」を繰り返すことがあります。
- ずっと症状が続くのではなく、良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多いです。
以下の症状が、悪くなったり、よくなったりしながら、長い年月をかけて経過する病気です。
つまり、これらの症状が1度に存在しないこともあります。
- 主症状
- 口腔粘膜の繰り返す口内炎
- 皮膚の症状
- 眼の症状(ぶどう膜炎)
- 外陰部潰瘍
- 副症状(主・副の区別は頻度や重症度の区別ではなく、日本の診断基準で区別されているだけです)
- 関節炎・関節痛
- 精巣上体炎(副睾丸炎)
- 消化器病変(腸管型ベーチェット病)
- 血管病変(血管型ベーチェット病)
- 神経病変(神経型ベーチェット病)
副症状の一部がでるベーチェット病は重症なことがあるため「特殊型」といい、他と区別されます。
主症状(4つ)
ベーチェット病で中心になる4つの症状を、主症状と呼ぶことがあります。
その中でも、口内炎はほとんどの患者さんに起きます。
繰り返す口内炎(再発性アフタ性潰瘍)
ほぼすべての患者さんにみられ、最初に出る症状であることが多いです。
ただ、口内炎といっても、健康な人でも起きますし、口内炎があるからといってベーチェット病とは限りません。
また、ベーチェット病でみられる口内炎は、幾つかの特徴があります。
- 境界がはっきりした、浅い、痛みが強い
- 痛みのために食事が取れないこともしばしばある
- 唇の裏、頬の内側、舌、歯ぐきなどにできる
- 同時に1つのこともあれば、複数できることもある
- 数日〜2週間程度で治るが、繰り返す
皮膚の症状
皮膚といっても、様々な種類の症状がでます。
- 結節性紅斑(様皮疹)
- 赤くて痛い、押すと痛いしこりのこと。
- 足のすねによくできる。
- 皮下の血栓性静脈炎
- 皮膚の静脈に炎症が起き、ひもの様なしこりとして触れる
- 毛嚢炎様皮疹・痤瘡(ざそう)様皮疹
- 顔・首・背中などにできる、ニキビのような皮疹
眼の症状(ぶどう膜炎)
眼の「ぶどう膜」という部分に炎症が生じます。このような状態を「ぶどう膜炎」といいます。
失明することもあるため、早期に発見し、治療する必要のある重要な症状です。
- 両眼に起きることが多い
- 急に起きたり(発作性)、また自然に治ってもまた再発することもある
- 症状としては
- 充血、眼の痛み、視力低下、視野がかける、飛蚊症(黒い点が飛ぶ)、まぶしさ
- 眼症状は口内炎に遅れて出てくることが多く、口内炎ができてから数年経ってから現れることもあります。
外陰部潰瘍
外陰部(つまり性器の周辺)に、痛みを伴う、境界のはっきりした潰瘍(皮膚がえぐれたもの。口内炎と似る)ができます。
男女でできる場所がやや異なります。
- 男性:陰嚢・陰茎
- 女性:大陰唇、小陰唇
痛みが強く、また受診のときに言い出しにくい症状ですが、診断上とても重要な情報ですので、医師に伝えていただきたい症状です。
副症状
主症状以外にも、一部の患者さんにでることのある症状です。
主症状と同様に、診断するうえで重要です。
また、副症状の一部は命に関わる可能性があるため、「特殊型ベーチェット病」と呼ばれ、区別されます。
そのため「副」とは、症状が軽いとか、重要ではないという意味ではないため、注意が必要です。
関節炎・関節痛
関節炎・関節痛は患者さんの50%以上にみられ、副症状の中では最も多い症状です。
- 膝、足首、手首、肘などの大きな関節に多い
- 左右非対称のことが多い
- 関節リウマチと違い、関節が壊れて変形することは基本的にありません

精巣上体炎(副睾丸炎)
精巣上体とは、睾丸の上の部分にある臓器のことです。
この精巣上体に炎症が起きるため、腫れて痛くなります。頻度は高くありません。
消化器病変(腸管型ベーチェット病)
腸管病変のあるベーチェット病は、腸管型ベーチェトと呼ばれ、特殊型ベーチェット病の一つです。
- 回盲部(小腸と大腸のつなぎ目)に、えぐれたような病変(潰瘍)ができることが多いです。
- 腹痛、下痢、下血(便に血が混じる)
- 潰瘍が深くなると、腸に穴があく(穿孔)ことがある
血管病変(血管型ベーチェット病)
動脈にも静脈にも病変が起こりえます。
血管病変のあるベーチェット病は、血管型ベーチェトと呼ばれ、特殊型ベーチェット病の一つです。
- 静脈
- 深部静脈血栓症:足の静脈に血の塊ができる。この血の塊(血栓)が飛ぶことで、肺塞栓を起こします。
- 肺塞栓:多くは足の静脈にできた血の塊が飛ぶことで起きる。命に関わることもある危険な病気です。いわゆる、エコノミークラス症候群(旅行者症候群)
- 動脈
- 動脈瘤:動脈の一部が拡大してしまう状態です。大きな動脈瘤ができると破裂する可能性があります。
- 動脈の閉塞:動脈に炎症が生じると、これによって血管が詰まる(閉塞)することがあります。
- 注意点
- 特に血管型ベーチェットの方では、血管に針を刺す処置(動脈採血やカテーテル検査)で、刺した部位に動脈瘤ができやすいという点です。(医学的には仮性動脈瘤)
- 手術や検査の際には、ベーチェット病であることを必ず伝えてください。
神経病変(神経型ベーチェット病)
神経病変のあるベーチェット病は、神経型ベーチェットと呼ばれ、特殊型ベーチェット病の一つです。
一般的に神経は、中枢神経(脳や脊髄)・末梢神経(脳や脊髄から出ている、手足や顔面にいく神経)に大きく分けられますが、神経型ベーチェットでは、主に中枢神経の方に問題が生じます。
進行のスピードによって、大きく2つのタイプに分けられます。
- 急性型
- 急に頭痛・意識障害・手足が動かしにくい(麻痺)、めまい、ふらつきなどが起きます。
- 症状は多彩で、これがあれば確定というものはありません。
- 時間〜日にちの単位で進行することが一般的です。
- 一般的なベーチェット病の症状と同様に、よくなったり悪くなったりすることがあります。
- 慢性進行型
- 年の単位で、体のふらつき(体幹失調という)、人格変化、認知機能の低下などがゆっくり進みます。
- 多くは急性型を起こした後に、慢性進行型に移行してしまうことが多いですが、慢性進行型のみが起きる人もいます。
いずれも、診断、治療ともに難しい臓器障害です。
その他の症状
全身に様々な症状が起こりえます。
- 発熱
- 微熱〜高熱まで幅広く
- 全身のだるさ・全身倦怠感・なんとなく調子が悪い感じ
診断について

問診・身体所見・採血・画像・内視鏡などの検査を組み合わせ、
・ベーチェット病らしい症状がそろっていることを確認し、
・ほかの病気を除外して、初めて診断することができます。
膠原病すべてにいえることですが、ベーチェット病は、1つの検査(採血やレントゲン)で診断が確定する病気ではありません。
むしろベーチェット病は、他の多くの膠原病のように「診断の補助になる血液検査」が存在しないため、症状の組み合わせで診断するという色彩がより強い病気です。
ベーチェット病の診断における注意点
繰り返しになりますが、ベーチェット病は、1つの検査(採血やレントゲン)で診断が確定する病気ではありません。
また、主症状をすべて満たし、他の病気でもないことから、ベーチェット病と確定診断される患者さんもいれば、一部の症状だけがあるものの、他の病気でもなさそうで、ベーチェット病とは診断できない状態のこともあります。
そのような患者さんは、時間経過と共に他の症状が出現して、最終的にベーチェット病の診断がつく方もいれば、症状が大きく変化せず診断がつかない方もいれば、他の症状によってベーチェット病以外の診断になる方もいます。
このようにどうしても時間が解決する側面があり、最初から診断することが困難なことも多いです。
そのため、厚生労働省の指定する診断基準では、「完全型」「不全型」「疑い」といった幅が設けられています。
とはいえ、例えば口内炎や眼の症状が非常に強く、時間による診断の解決を待つより先に治療を始めた方がいいと考えられる場合には、治療を優先することも主治医の判断ではあり得ます。
症状を確認する
ベーチェット病で最も重要なことは、それらしい症状を確認することです。
まずは、最も重要な「主症状」がいくつ揃うか、そして「副症状」のどれが存在するかを確認します。
注意点として、同時にそろっている必要はなく、これまでの経過の中で出現していればカウントできます。
かつベーチェット病の症状の特徴として、自然に治ることもあります。(ベーチェット病自体が自然に治ることはありません)そのため、過去にどんな症状があったかを思い出していただくことがとても大切です。
また、症状がそろうまでに時間がかかることも多く、最初は「疑い」までしか診断できないこともあります。症状が進行してベーチェット病の診断になる人もいれば、疑いのままのこともあります。症状が進行するかどうかを予想することは基本的にはできません。
症状ごとに検査を行う
ベーチェット病ではさまざまな症状が出現し、それぞれの症状を詳しく調べて、他の病気と区別するために調べる必要があります。
- 口腔粘膜の繰り返す口内炎
- ヘルペスウイルスなど感染症で起きることがあるため、その検査が必要なことがあります。
- 薬剤の影響ででることがあり、薬剤を調整する必要があります。
- 他の膠原病・潰瘍性大腸炎・クローン病などで起きることがあるため、その検査(採血・画像)などが必要なことがあります。
- 悪性リンパ腫などの悪性腫瘍で起きることがあるため、癌の検査が必要なこともあります。
- 皮膚の症状
- 皮膚の症状によって、様々な病気を区別する必要があります。必要な場合には皮膚を取る(生検)を行う必要があります。
- 感染症や、他の膠原病、悪性腫瘍など、区別するべき病気は多いです。
- 眼の症状(ぶどう膜炎)
- 症状がある場合、眼科に診察を依頼する必要があります。
- ぶどう膜炎は過去には失明する恐れの高い病気でしたが、早期の診断によって防げるようになってきています。
- 外陰部潰瘍
- 見た目を確認することが重要です。女性の場合には婦人科に診察を依頼することもあります。
- ヘルペスウイルスなどの感染で起きることがあるため、その検査が必要になります。
- 関節炎・関節痛
- 診察・関節エコー・関節のX線(レントゲン)を確認します。
- 様々な病気で関節が腫れたり痛みが出るため、区別するための検査が必要です。
- 精巣上体炎(副睾丸炎)
- 感染症で起きることが最も多いですが、他の膠原病でも起きることがあります。
- 尿検査やエコーの検査が必要なこともあります。
- 消化器病変(腸管型ベーチェット病)
- 腸の異常をCT検査(できれば造影剤を使った検査)・便検査などを行います。
- しっかり診断をつけるためには、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)が必要なことが多いです。
- クローン病・潰瘍性大腸炎などとの区別が難しいことがあります。
- 血管病変(血管型ベーチェット病)
- ベーチェット病は様々な血管に病気を起こすため、その血管によってするべき検査は様々です。
- 例えば深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)では、足のエコーで血栓(血の塊)を見つけます。
- 肺塞栓や動脈に血栓がある場合には、造影CT検査が必須です。
- 神経病変(神経型ベーチェット病)
- 基本的には神経型ベーチェットは中枢神経(脳や脊髄)に問題を起こします。
- そのため、頭のMRI検査、髄液検査(腰から針を刺して、脊髄液を確認する)などをする必要があります。
- ゆっくり進むタイプ(慢性進行型)では、経過を追うことが重要なので、上記の検査を繰り返すことが必要なこともあります。
他の病気を除外する
他の病気ではないことを確認することを「除外」といいますが、この除外することが膠原病においては重要です。
そのため、採血やレントゲンなどだけでベーチェット病ということはできないのです。
除外する病気は、症状や患者さんの状態で大きく変わります。
これは、患者さんごとの違いや現場の判断で大きく変わりますが、厚生労働省の指定している指定難病の書類がある程度参考になります。
★★
検査・採血
一部の膠原病には「自己抗体」という、ある程度膠原病を予想することができる検査データがあります。(これも、必ずしも陽性だからといって、その膠原病ということはできません。あくまで参考であることが多いです。)
ベーチェット病には、そういった自己抗体の検査はありません。(研究では自己抗体が関連している可能性も指摘はされていますが、測定することは現実的ではありません)
そのため、症状や臓器の問題を主体として、同じ症状・臓器の問題を起こす他の病気を除外することによって診断するしかないのです。
必要な検査のまとめ
以上をまとめると、ベーチェット病を診断するために必要な検査は以下の2種類です。
- 口内炎などの症状を詳しく確認する検査
- ベーチェット病以外の病気を除外する検査
上の検査は、ベーチェット病を診断する際にすべての検査を行っているわけではありませんが、医師に応じて、必要な検査を行います。
治療について

- 根本的に病気を治療する薬剤は、現時点ではない。
- 治療方針は、病気が起きている臓器・その程度に応じて治療の強さを変える。
- 例えば
- 口内炎や皮膚症状だけであれば局所治療とコルヒチンを主に使う。
- 命に関わる臓器(例えば、眼・腸管・血管・神経)に病変がある場合は、ステロイド(プレドニン®)や免疫抑制薬、生物学的製剤を使用する。
ベーチェット病は、「膠原病」といわれる、自分の免疫で自分の体を攻撃することによって起きる病気と考えられています。
多くの膠原病では、異常な免疫を抑えるために、免疫抑制薬・免疫調整薬が治療で必要になることがあります。
これらは、正常な免疫も抑えてしまうため、多くの免疫抑制薬に共通する副作用として、感染症にかかりやすくなる・感染したときに重症になりやすいなどがあります。

ベーチェット病のおおまかな治療
皮膚・粘膜症状
- ステロイドの塗り薬・貼り薬
- コルヒチン(ベーチェット病の基本となる内服薬)
- 口腔潰瘍が局所療法で不十分な場合にはオテズラ®(アプレミラスト)
- 他にも皮膚の症状に応じて、様々な薬を使います。
眼症状
- 軽症の場合には、ステロイド点眼を使います
- 発作の予防には、まずコルヒチンを使うことが多いです。
- 重症の場合には、ステロイドの結膜下注射、後部テノン嚢下注射など、注射を使うこともあります。
- 上の治療でうまくいかない場合には、ネオーラル®(シクロスポリン)やTNF阻害薬(インフリキシマブ、アダリムマブ)を使います。
- TNF阻害薬は注射で使う薬です。詳細は下を参照してください。

関節炎
- 発作予防にコルヒチンを使います。
- コルヒチンだけで抑えられない場合には、リウマトレックス®(メトトレキサート)なども使われます。
腸管病変
- 軽症〜中等症:アザルフィジン®(サラゾスルファピリジン)など
- 中等症〜重症:プレドニン®(ステロイド)、TNF阻害薬、栄養療法 など
血管病変
- ステロイドと免疫抑制薬が主体です。
- ステロイドの量や免疫抑制薬の種類は、血管病変の重さによって変わります。
- 血栓ができた場合には、血が固まりにくくなる薬を使います。(いわゆる、血液さらさらの薬)
中枢神経病変
- ステロイドと免疫抑制薬が主体です。
- ステロイドの量や免疫抑制薬の種類は、神経病変の重さによって変わります。
- 注意:シクロスポリンは急に神経発作を誘発することがあり、このタイプのベーチェット病の方には原則使用しません
経過と見通し(予後)
ベーチェット病は、悪くなったり、よくなったりしながら、長い年月をかけて経過する病気です。
とはいえ一般的には、発症してから数年間が最も病気の勢いが強く、年齢を重ねるにつれて発作が落ち着いてくる傾向があるといわれています。
患者さん個人や、病型によって見通しは大きく異なります。
- 皮膚・粘膜症状だけの場合
- これだけで生命に関わることは少ないです。ただ痛みのために食事がとれなくなったり、整容面の問題など、日常生活に関わることも多いです。
- 眼の病変がある場合
- 昔は失明の主要な原因のひとつでしたが、治療の発達によって失明する可能性は減っています。
- しかし、人によっては治療に反応しなかったり、失明の原因になり得ることは変わりません。
- 特殊型(腸管・血管・神経)
- 命に関わることがあり、慎重な治療が必要です。
自己判断で通院や内服を中断すると、目や神経に取り返しのつかない障害を残すことがあります。症状が落ち着いている時期こそ、定期的な受診を続けることが、非常に重要です。
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。
個々の患者さんの診断・治療方針は、病状、検査結果、併存疾患、使用中の薬剤などによって異なります。
実際の診療判断は、必ず主治医または医療機関にご相談ください。

