EULARのリウマチ性多発筋痛症のrecommendations 2025がでましたのでまとめていきましょう。(guildelineではありません)
ここではPMRについてのみをまとめます。EULAR 2015年以来の改訂になります。
PMR の表現型を示す患者が基礎に血管炎を有している可能性があることや、PMRとGCAの合併例があることから、PMRも同時にrecommendationが作成されました。
本文中の GC 用量は、すべてプレドニゾロン/プレドニゾン換算。
一部抜粋ですので、全文は本文から確認ください。
2025 EULAR recommendations for the management of polymyalgia rheumatica and primary large vessel vasculitis
Annals of the Rheumatic Diseases 2026;00:1−16
背景
GCA と TAK の病態生理は類似しており、PMR と GCAの臨床像には重なりがある。この重複が、PMR・GCA・TAK を単一の推奨で扱う理由である。
ディップ先生本邦においては、過去の報告でPMRとGCAの関連性が、他国からの既報より少ない可能性が指摘されていましたが(Arthritis Rheum. 2003 Aug 15;49(4):594-8. )、近年の報告では欧州並みの可能性があるとされています。(Rheumatology. 2017;56(suppl_3):iii52–iii60.)
概要
- 提示されたのは 4つの包括的原則と12の推奨(図1〜3、表1に要約)
- 5つの推奨は完全に新規であり、ほかは新たに作成されたものの前版の更新にあたる。
包括的原則
PMR には診断を確定する検査が存在せず、診断は典型的な徴候・症状の組み合わせと、鑑別疾患の除外に基づく。
分類基準は、研究目的で当該疾患を最も正確に代表する均質な患者群を同定し、研究結果の信頼性を高めるために用いられる。こうした基準は通常きわめて特異度が高くなるよう意図されており、その結果、臨床医が「最適合診断」を用いない限り、診断名のつかない患者が生じてしまう。
分類基準は臨床医に情報を与えうるが、診断を下すために用いることはできない。
PMRのManagement


- 目標(Target) ・・・ 寛解の導入とその維持。
- 「寛解」は明確に定義されていない。
- There is no consensus definition of remission, but at the very least it would be an absence of symptoms supported by the normalisation of acute phase markers. という記載はある。
- TOC・・・トシリズマブ・162 mg/週 皮下注(本邦ではPMRに対して適応外です)
- SAR・・・サリルマブ・200 mg 2週毎 皮下注(本邦ではPMRに対して適応外です)



2015年と比べて新たに推奨が追加されたTCZ・SARですがいずれも本邦ではPMRに適応がありません。
診断・治療前について
- PMRが疑われる患者は、理想的には GC 未使用(GC naïve)の状態で専門医療機関に紹介されるべき。
- GCへの反応は感度の高い検査ではなく、GC の「診断的治療(diagnostic trial)」は推奨されない。
- 1度入れると、その修飾の元だと確定的な検査が制限され、検査のためにはGCを減量して再度疼痛を与える必要があるため
GC量(初発・再燃)
最終的な目標は、GCオフと明記されています。
- 新規発症
- 寛解導入:初期用量 15〜25 mg/日、1〜2か月以内に 10 mg/日まで漸減し、1年以内の GC 中止を目指す。
- 日本では15mgで開始することが多いので、2週間ごとに15→12.5→10といった減量が現実的でしょうか。
- GC 節減療法をより早期に用いることで、漸減を加速できる可能性がある。
- TCZを併用する場合には3ヶ月で中止を目指す。
- 寛解導入:初期用量 15〜25 mg/日、1〜2か月以内に 10 mg/日まで漸減し、1年以内の GC 中止を目指す。
- 再燃
- GC 療法を再開するか、少なくとも最後に有効であった用量まで増量し、その後個別化した漸減を行う。
GC以外の免疫抑制薬
サリルマブは、再燃・難治でトシリズマブより上で推奨されました。逆に初発はトシリズマブのみの推奨です。
背景には、再燃が多いことがあります(5〜7年時点で 40〜50% の患者が慢性的に GC を使用)
早期に併用を検討するべき症例は、GC合併症のリスクが高い症例、と言及されています。逆にいればそれ以外の投与判断基準は記載がありません。
- 新規発症
- IL-6受容体阻害薬(トシリズマブ)による補助療法を検討してよい
- メトトレキサートを代替として使用してよい。
- MTX 15 mg/週 経口の GC 節減効果に関するエビデンスがある。
- 再燃・難治性 PMR
- IL-6受容体阻害薬(サリルマブが望ましく、代替としてトシリズマブ)による補助療法を検討すべきである
- メトトレキサートを代替として使用してよい。
- またGCをオフにしてから、免疫抑制薬の減量を検討するべき。
- TCZ・SAR・・・減量するという記載はありますが、具体的な方法は記載がありません。
再燃・難治性の注意点
PMRに関連するところを抜粋しました。
- 再燃の定義は明記がない。
- PMRはGCAの症状で再燃することがある(逆もある)
- PMRがGCAで再燃する場合には、免疫抑制療法併用を検討するべき。
- 副腎不全症との鑑別が必要である
推奨の元となったstudy
- 新規発症PMRに対するTCZ
- 2件の小規模前向き研究で、TCZ iv 8mg/kg/4w で寛解導入。
- Devauchelle-Pensec V, et al. Ann Rheum Dis. 2016;75(8):1506–10.
- Chino K, et al. Int J Rheum Dis. 2019;22(12):2151–7.
- 新規発症PMR 36例を、トシリズマブ162 mg/週 皮下注またはプラセボに1:1で16週間割り付け
- Ann Rheum Dis. 2022;81(6):838–44.
- 2件の小規模前向き研究で、TCZ iv 8mg/kg/4w で寛解導入。
- GC依存性PMRに対するTCZ
- Devauchelle-Pensec V, et al. JAMA. 2022;328(11):1053–62.
- GC依存性の活動性PMR 101例(TCZ 49、プラセボ 51)。TCZ 8 mg/kg/4wで治療。
- Devauchelle-Pensec V, et al. JAMA. 2022;328(11):1053–62.
- 再燃PMRに対するSAR
- Spiera RF, et al. N Engl J Med. 2023;389(14):1263–72.
- SAR sc. 200 mg/2w + GC14週間漸減(60例)vs プラセボ + GC52週間漸減(58例)
- 好中球減少と下痢がプラセボより高頻度だった。
- Spiera RF, et al. N Engl J Med. 2023;389(14):1263–72.
2015年版との比較
- TCZ・SARが新規に追加されています。
- 2015年では、12.5mg〜25mgでしたが、実臨床では大半が15mg以上から使用していることから、その記載に修正。
- 2015年では、GCは4週間ごとに1mgの推奨でした。より早く減量する目標に変わったといえます。
- また以前は中止目標の明示なしでした。


今後の研究課題
- PMR 患者において、血管炎を示唆する画像変化が存在することの臨床的・予後的意義を理解すること。
- 臨床パラメータと検査パラメータに基づく GC 漸減を最適化すること。
- 検査パラメータ、アウトカム指標、患者報告アウトカム指標を用いた head-to-head 試験で、併用を含む利用可能な治療を比較検討すること。
- 臨床的および医療経済的アウトカムに基づき、必要な免疫抑制療法の期間を決定すること。
- GC 関連合併症に関する免疫抑制療法の長期的利益を明らかにすること。
- モニタリングのための疾患特異的バイオマーカーを発見すること。
2026/07/23 一部誤字を修正しました











