ステロイド(プレドニン®)の副作用は?

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このページではステロイドを使用する、また使用している患者さん向けに、ステロイドの副作用について膠原病内科医師が情報をお伝えします。

目次

ステロイドの欠点・副作用

ステロイドの副作用は多く、使用は最小限が原則です。
ただ、すべての人に副作用が出るわけではなく、特に以下の場合に注意が必要です。

ステロイドの副作用が生じやすい状況・患者さん

  • ステロイドを内服・点滴で使用した場合
    • 塗り薬や吸入薬では副作用は起こりにくいといわれています
  • ステロイドの使う量が多い
    • 副作用によって起きやすい量が違います。
    • 目安としては10mg以上使用すると様々な副作用が出現しやすいです。
  • ステロイドの使う期間が長い
    • 副作用によって起きやすい期間が違います。
    • 不眠などは投与したその日から、免疫を抑える作用は2週間以上かかります。
  • もともと副作用と同じ症状をお持ちの方
    • 肺などに感染しやすい状態がある(間質性肺炎・喫煙など)
    • もともと生活習慣病(糖尿病・高血圧・脂質異常症)がある
    • もともと骨粗鬆症がある
    • もともと不眠がある

副作用は以下の5つに大きく分けられます。

ステロイドの大きな副作用5つ。

  • 感染症
  • 生活習慣病(成人病)
  • 体がもろくなる
  • 精神に影響する
  • 見た目の変化
欠点
感染症

ステロイドは異常な免疫を抑制してくれますが、広い範囲の免疫を強く抑制するため、本当は抑制したくない、正常な免疫まで抑制してしまいます。

基本的には、内服で使用する場合に免疫が大きく落ち、塗り薬・吸入薬では大きく免疫が落ちることは少ないです。

普通の感染症が悪くなりやすい

インフルエンザ、新型コロナウイルス、ただの風邪であっても、普通は自然と治ることの多い感染症が、命に関わることになるほど悪くなることがあります。

普通の人がならない感染症になりやすい

一部の感染症は内服で予防することができます(ニューモシスチス肺炎など)

  • 真菌による肺炎(ニューモシスチス肺炎・アスペルギルス肺炎・クリプトコッカス肺炎など)
  • 真菌による全身の感染(カンジダ・クリプトコッカスなど)
  • ウイルスによる全身の感染(サイトメガロウイルス・JCウイルスなど)が挙げられます。
体内に眠っている感染症がぶり返す可能性がある

結核・B型肝炎・C型肝炎が代表的です。

これらの病原体は特殊で、ヒトの体に感染しても、体から完全に排除することができません。普通は、完全に排除はできなくとも、体の中で免疫が働き、常に感染症を抑え込んでいます。そのため、仮に感染したことがあっても、普通は大きな問題になることはありません。しかし、免疫抑制薬を使用すると、病原体を押さえ込んでいた免疫が弱められてしまい、抑えられていたものが出現(再活性化)することがあります。

感染したことを調べる方法としては、採血で感染したことがあるかどうかが分かります(抗体を調べる)。そのため、ステロイドを内服・点滴である程度の量を使用する予定の前には、必ず採血が必要です。

感染したことがある方への対応としては、結核の場合には抑える薬(イソニアジド・イスコチン®)を使います。B型肝炎は採血で定期的に再活性化していないかを確認し、ステロイドを使っている間は2〜3ヶ月ごとに採血を行います。もし再活性化が起きてしまったら、内服の薬で治療を行う必要があります。

欠点
生活習慣病

生活習慣病とは、高血圧・高脂血症・高血圧などをまとめた病気ですが、すべて起こりやすくなります。

ステロイドによる血糖値・血圧・脂質への影響は、主に内服薬や点滴薬として使用した場合に起こりやすく、吸入薬や塗り薬では通常問題になりません。基本的には、ステロイドの使用量が多いほど、また使用期間が長いほど起こりやすくなります。

糖尿病

もともと糖尿病がある人では悪化することが多く、糖尿病がない人でも血糖を下げる薬が必要になることがあります。人によっては、インスリンが必要になるほど血糖値が上がる場合もあります。一方で、長期間ステロイドを使用しても糖尿病にならない人もいます。

高血圧

もともと高血圧がある人では悪化することが多く、高血圧がない人でも血圧を下げる薬が必要になることがあります。長期間使用しても高血圧にならない人もいます。

高脂血症・脂質異常症

もともと脂質異常症がある人では悪化することが多く、脂質異常症がない人でも脂質を下げる薬が必要になることがあります。長期間使用しても脂質異常症にならない人もいます。

欠点
体がもろくなる

体の様々な部位が「もろく」なっていきます。

骨粗鬆症

ステロイドを内服薬や点滴薬として使用すると、徐々に骨がもろくなり、骨粗鬆症が進むことがあります。一般的には、ステロイドの量が多いほど起こりやすいとされていますが、最近の研究では、少量であっても骨粗鬆症が進行する可能性があることが分かっています。

実は、なぜステロイドを使用すると骨がもろくなるのかについては、完全には分かっていません。年齢を重ねると骨を作る力が低下し、骨粗鬆症が進みますが、ステロイドによる骨粗鬆症は、それとは異なる原因で起こっている可能性が指摘されています。最近の研究では、ステロイドはどのような量であっても骨粗鬆症を進める可能性があると報告されています(Osteoporosis International. 2024;35:805-818.)。

ただし、ステロイドの量が多いほど骨がもろくなりやすいことは明らかです。そのため、不要なステロイドは使用せず、可能な範囲で早く減らすことが大切です。ただし、ステロイドをどのタイミングでどの程度減らせるかは、もとの病気の状態、現在の症状、他の薬の使用状況などを総合的に考える必要があり、慎重な判断が必要です。

骨粗鬆症を予防・治療する薬としては、ビタミンD製剤(ワンアルファ®、エディロール®など)や、ビスホスホネート製剤など、さまざまな薬があります。ステロイドを長期間使用する場合には、これらの薬を併用することが多いです。また、レントゲンや骨密度検査によって骨の状態を確認できるため、ステロイド開始後は定期的に骨密度を確認することが重要です。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

ステロイドを内服薬や点滴薬として使用すると、胃や十二指腸などの粘膜の傷が治りにくくなることがあります。胃や十二指腸の粘膜は、胃酸や食べ物によって日常的に小さな傷がつき、それを修復しながら保たれています。しかし、ステロイドによって傷の治りが悪くなると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が起こりやすくなります。

以前は、ステロイドそのものが直接、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こすと考えられていました。しかし現在では、ステロイド単独で潰瘍が大きく増えるというよりも、もともと胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こしやすい状態を助長すると考えられています。つまり、胃や十二指腸に傷がついたときに、それを修復する力が低下することで、潰瘍が起こりやすくなるということです。

そのため、ステロイドを内服する場合には、胃薬を一緒に内服することが多いです。胃薬によって、ある程度は胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防できますが、それでも完全に防げるわけではありません。腹痛、黒い便、吐き気、食欲低下などがある場合には注意が必要です。

筋力が落ちる

ステロイドを内服薬や点滴薬として使用すると、胃や十二指腸などの粘膜の傷が治りにくくなることがあります。胃や十二指腸の粘膜は、胃酸や食べ物によって日常的に小さな傷がつき、それを修復しながら保たれています。しかし、ステロイドによって傷の治りが悪くなると、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が起こりやすくなります。

以前は、ステロイドそのものが直接、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こすと考えられていました。しかし現在では、ステロイド単独で潰瘍が大きく増えるというよりも、もともと胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こしやすい状態を助長すると考えられています。つまり、胃や十二指腸に傷がついたときに、それを修復する力が低下することで、潰瘍が起こりやすくなるということです。

そのため、ステロイドを内服する場合には、胃薬を一緒に内服することが多いです。胃薬によって、ある程度は胃潰瘍や十二指腸潰瘍を予防できますが、それでも完全に防げるわけではありません。腹痛、黒い便、吐き気、食欲低下などがある場合には注意が必要です。

皮膚がもろくなる

ステロイドを内服薬や点滴薬として2〜3週間以上使用すると、皮膚がもろくなることがあります。皮膚や皮膚の中の細い血管が弱くなり、少しぶつけただけでアザができやすくなります。また、皮膚の再生も悪くなるため、できたアザが治りにくくなることがあります。

特に、採血のあとがアザになりやすくなったり、ぶつけた覚えがないのにアザができたりすることがあります。これは、ステロイドによって皮膚や血管が弱くなり、出血しやすくなるためです。

また、手術を予定している場合には注意が必要です。ステロイドを多く使用していると、手術の傷がくっつきにくくなったり、再び開いてしまったり、傷に感染しやすくなったりする可能性があります。そのため、手術の前には、可能な範囲でステロイドの量を減らすことが重要です。

ただし、ステロイドを減らすことで元の病気が悪化してしまうと、かえって手術が難しくなることもあります。そのため、手術前にどの程度ステロイドを減らすかは、病気の状態や手術の内容を踏まえて慎重に判断する必要があります。

皮膚や傷の治りを助ける目的で、ビタミンC製剤(シナール®など)を使用することがあります。ビタミンCによって、傷の治りが早くなる場合があります。

白内障・緑内障

正確には体が「もろく」なる症状ではありませんが、わかりやすいためこちらで説明します。

ステロイドを内服薬や点滴薬として長期間使用すると、白内障や緑内障が起こることがあります。特に、半年以上など、ある程度長期にわたって使用する場合には注意が必要です。

白内障は、目の中のレンズにあたる水晶体が濁り、見えにくくなる病気です。緑内障は、目の奥の神経が障害され、視野が欠けていく病気です。いずれも初期には自覚症状が少ないことがあるため、症状が出てから気づくのではなく、定期的に眼科を受診して確認することが大切です。特に、もともと白内障や緑内障がある方は、眼科での定期的な確認が望ましいです。

ステロイドを使用している間は、眼科で白内障や緑内障が進んでいないかを確認してもらうことをおすすめします。一方で、すでに白内障の手術を受けている方では、白内障が新たに問題になることはほとんどありません。ただし、目の状態には個人差があるため、ステロイドを長く使う場合には、必要に応じて眼科で相談しておくと安心です。

大腿骨頭壊死

ステロイドを内服薬や点滴薬として大量に使用すると、まれに大腿骨頭壊死が起こることがあります。大腿骨頭とは、太ももの骨である大腿骨の頭の部分で、骨盤にはまり込んで股関節を作っている重要な場所です。この部分は体重を支えるため、障害が起こると歩行に大きな影響が出ます。

大腿骨頭壊死の「壊死」とは、簡単にいうと、その部分の組織が血流不足などによって傷んでしまうことです。大腿骨頭が壊死すると、骨が体重を支えきれなくなり、つぶれてしまうことがあります。その結果、股関節に非常に強い痛みが出たり、歩けなくなったりすることがあります。

発症する可能性は非常に低いとされていますが、一度起きてしまうと、薬だけで治すことは難しく、手術が必要になることがあります。そのため、ステロイド使用中や使用後に股関節の痛みを感じた場合には、早めに主治医に伝えることが重要です。

大腿骨頭壊死を確実に予防する方法はありません。基本的には、必要のないステロイドを使わないこと、必要な場合でも可能な範囲で早く減らすことが大切です。また、飲酒や喫煙がある方では起こりやすいとされますが、実際にどの人に起こるかを事前に予測することは困難です。過度に心配しすぎる必要はありませんが、股関節痛が出た場合には放置しないようにしてください。

欠点
精神に影響する

ステロイドを内服薬や点滴薬として使用すると、生じやすくなります。

最も生じやすい精神症状は不眠ですが、それ以外にもうつ症状・躁症状など様々な精神症状を起こすことがあります。

ステロイドによって精神的な問題が生じることを、ステロイド精神病と呼ぶことがあります。一般的には、ステロイドを短期間に大量に使用した場合には躁症状が、長期間使用した場合にはうつ症状が出やすいとされています。ただし、どのような人に起こりやすいかを事前に正確に予測することは難しく、実際に使ってみなければ分からないことも多いです。

不眠

副作用の中でも比較的早く出ることがあり、使用した初日の夜から起こることもあります。

基本的には、ステロイドの量が多いほど起こりやすく、もともと不眠がある人では悪化しやすい傾向があります。

症状としては、なかなか寝つけない、眠ってもすぐに目が覚めてしまう、眠りが浅いといった形で現れます。ただし、全員に起こるわけではありません。全く不眠が出ない人もいますし、むしろ治療によって元の病気がよくなることで、以前より眠れるようになる人もいます。

不眠が起こるかどうかを事前に予測することは難しく、実際に使ってみないと分からない面があります。不眠が強い場合には、睡眠薬を使って眠れるように調整します。それでも眠れない場合には、ステロイドの量や内服するタイミングを調整することがあります。たとえば、夕食後に内服する量を減らして、朝に多めに内服するようにすると、不眠がある程度改善することがあります。

うつ症状

うつ症状とは、「うつ病」のような症状のことで、気分が落ち込む、物事への興味や関心がなくなる、やる気が出ない、悲観的になるといった状態を指します。

精神的な症状が出た場合には、必要に応じて精神科の薬を使用しながら、ステロイドを可能な範囲で早めに減らすことが重要です。ただし、ステロイドは元の病気を抑えるために必要な薬であるため、自己判断で急に中止するのではなく、病気の状態を確認しながら慎重に調整します。

躁症状

躁症状とは、「躁病」のような症状のことで、気分が通常の範囲を超えて高ぶり、眠らなくても元気に動き続ける、話が止まらない、怒りっぽくなる、普段ならしないような行動をしてしまうなど、日常生活に支障を来す状態を指します。

精神的な症状が出た場合には、必要に応じて精神科の薬を使用しながら、ステロイドを可能な範囲で早めに減らすことが重要です。ただし、ステロイドは元の病気を抑えるために必要な薬であるため、自己判断で急に中止するのではなく、病気の状態を確認しながら慎重に調整します。

欠点
見た目の変化

ステロイドを内服薬や点滴薬として、ある程度の量・ある程度の期間使用すると、見た目に関わる変化が出ることがあります。代表的なものとして、顔に脂肪がついて丸くなるムーンフェイス、肩や首の後ろに脂肪がつくバッファローハンプ、毛が濃くなる多毛、にきびができやすくなるざ瘡などがあります。

これらは、ステロイドの量が多く、使用期間が長いほど起こりやすくなります。私の経験では、目安としてプレドニゾロン換算で0.5 mg/kg以上を2週間以上使用すると出やすい印象があります。ただし、これより少ない量でも長期間使用すれば出ることがありますし、多い量を短期間使用した場合にも生じることがあります。そのため、あくまで目安と考えてください。

また、副作用の出やすさには個人差があり、どの程度の量・期間で出るかを事前に正確に予測することは困難です。いずれの変化も、ステロイドを減らしていけば徐々に改善していくことが多いです。しかし、これらの見た目の変化を完全に予防する方法は、残念ながらありません。

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この記事を書いた人

専門:膠原病リウマチ内科、内科
資格・所属:医師(MD) 
日本内科学会・日本リウマチ学会所属・大学病院勤務
患者さんから、(主に若手の)リウマチ科医師まで、膠原病・内科について広く知ってもらうことを目標にしています。皆さんで作っていくブログにしたいと考えていますので、お問い合わせフォームより、なんでも気軽にご相談・ご質問ください!

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