アミオダロンの副作用

アミオダロンは今もなお使用される抗不整脈薬ですが、非常に副作用の多い薬剤として知られています。(ここではその作用・利点については触れません)

アミオダロンは半減期が数週間〜数ヶ月あり、開始1年以内で15%、長期に使用すると50%に副作用が生じるとされます。[1] 

最も重要なことは、このリスクとベネフィットのバランスを取ることであることは言うまでもありませんが、それがかなり難しい薬剤といえ、基本的には専門科の元で扱われるべきです。

しかしそれ以外の医師であっても、遭遇した場合に、副作用の存在に覚知することが重要です。

具体的にどのような副作用があるかをみていきましょう。

間質性肺炎

間質性肺炎をみる、呼吸器内科・膠原病リウマチ内科では有名ですが、発症した場合、死亡率が10%に及ぶとされるほど非常に重篤な間質性肺炎を呈します。

メカニズムとしては、CD8陽性T細胞に直接的・間接的に作用してびまん性間質性肺炎を示すと考えられています。[2]

治療はステロイド投与が必要になることも多いようです。

甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症

アミオダロンにはヨウ素が多く含まれており、これによって甲状腺が影響を受けることがあります。[3]

甲状腺機能低下症

ヨウ素を過量摂取すると甲状腺機能低下症になることがあります。(Wolff-Chaikoff効果)

それと同様の機序かは判然としませんが、甲状腺機能低下症を呈することがあります。

通常は軽症で、潜在性甲状腺機能低下症(TSH高値、FT4正常値)の状態のこともあるようですが、時に粘液水腫性昏睡など重篤な病態を呈することもあるようです。

臨床的には、TSH>10となることはざらで(一般的には治療適応になる潜在性甲状腺機能低下症)、TSH>20で治療を考えるようです。またアミオダロンは半減期が長く続くため、中止してもすぐには改善しません。

甲状腺機能亢進症

2つのタイプに分けられます。

1型アミオダロン誘発性甲状腺機能亢進症(AIT) ベースに甲状腺疾患がある

甲状腺ホルモンの産生亢進によって甲状腺機能亢進症を呈します。 (Jod-Basedow効果によって、背景に甲状腺の自立機能(TSHによらず甲状腺ホルモンを産生すること)の異常がある場合に、ヨウ素誘発性の甲状腺機能亢進症を呈することがある)

2型アミオダロン誘発性甲状腺機能亢進症(AIT) ベースの甲状腺が正常

破壊性に甲状腺ホルモンが漏出し、甲状腺機能亢進症を呈します。

これらは機序が違うため、それぞれ治療も異なりますが、1型・2型Overlapの症例もあるようで、その場合には療法に対する治療を併用することもあるようです。(上図参照)

こちらも通常軽度のことが多いようですが、時に重篤になるため甲状腺機能亢進症の症状がある場合には注意が必要です。高齢者の場合、甲状腺機能亢進症でも食思不振として発症することがあるため、原因不明の食思不振をみた場合で、アミオダロンを内服してる場合には測定を検討しましょう。

肝障害

無症候性肝酵素上昇〜劇症肝炎までありえます。

長期に使用すると4分の1に無症候性の肝酵素上昇を来たし、アミオダロンのIV投与では1日以内に急性肝障害を呈する可能性があるようです。[4]

画像上の特徴として、肝臓全体が単純CTで高吸収になる[5]ことが知られています。このような像は、ヘモクロマトーシス・Wilson病など金属イオンの蓄積でも認めるため、みた場合にはこれらの鑑別が必要です。

治療はアミオダロン中止+対症療法しかなく、早期に覚知して中止することが重要です。肝酵素上昇と中止のタイミングが難しいところですが、一般に肝酵素の正常上限3倍を超える場合には中止が推奨されています。

皮膚症状

長期に使用した場合、25−75%に生じるとされます。

おもに、日光曝露部(顔・首・手)に、掻痒を伴う紅斑・蕁麻疹様の皮疹として生じることが多いです。[6]

中止しても脂肪に蓄積するため、数ヶ月〜数年かけて徐々に消退するようです。

神経症状

主には末梢神経障害が、10%程度に生じるとされます。

軸索型・脱髄型・神経細胞傷害型と様々で、運動性・感覚性いずれもありえるとされます。[7]

機序は不明ですが、末梢神経内では、アミオダロン・その代謝物の濃度が上昇し、Schwann細胞内に多数の封入体が認められることから、アミオダロンの蓄積によって脱髄や軸索障害が引き起こされると考えられています。[8]

(上記は、「神経内科Clinical Questions & Perls 末梢神経障害」より一部引用しています)

可逆的であることが特徴で、アミオダロン減量・中止の2日後〜4週間以内に改善をみとめるとされます。

眼症状

角膜への沈着は、70−100%の患者に認めますが、これは視力には影響せず、中止の条件とはなりません。

視神経障害を0.36〜2%の頻度で生じ、アミオダロン関連視神経障害[9]は、典型的には軽度・進行性・両側性が特徴のようです。

対応は中止しかありませんが、これによって改善する・横ばい・増悪する症例さまざまとされます。

フォローの仕方

アミオダロン安全使用実践マニュアルを参考にすると、以下のようになっています。

引用文献

  • [1]  Florek, J., Lucas, A., & Girzadas, D. (2024). Amiodarone. In StatPearls. StatPearls Publishing. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK482154/
  • [2] Clin Med Insights Case Rep. 2016 Oct 9;9:91-94.
  • [3] The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 106, Issue 1, January 2021, Pages 226–236
  • [4] Dig Dis Sci. 2024 Apr;69(4):1479-1487.
  • [5] 日本医放会誌 63: 221-224, 2003.
  • [6] Med Sci Monit. 2014 Nov 21;20:2369-72.
  • [7] Arch Intern Med. 2000; 160: 1741–8.
  • [8] Brain. 1985; 108: 753–69.
  • [9] Br J Ophthalmol. 2003 Apr;87(4):420-2.

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この記事を書いた人

専門:膠原病リウマチ内科、内科
資格・所属:医師(MD) 
日本内科学会・日本リウマチ学会所属・大学病院勤務
患者さんから、(主に若手の)リウマチ科医師まで、膠原病・内科について広く知ってもらうことを目標にしています。皆さんで作っていくブログにしたいと考えていますので、お問い合わせフォームより、なんでも気軽にご相談・ご質問ください!

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