BILAG

全身性エリテマトーデス

BILAGは、全身性エリテマトーデス(SLE)の疾患活動性を評価するための指標です。全身性エリテマトーデスを評価する指標のまとめは、こちらのページを参考にしてください。

歴史

原版は1988年に発表されました。 

更新版(BILAG-2004)は2005年に発表されました。改訂版では、元の血管炎セクションが削除され、眼科系と腹部系の2つの臓器系が追加されました。 Rheumatology (Oxford). 2003;42(11):1372–1379.

BILAG-2004の評価方法

最近1ヶ月間のSLEの疾患活動性について、臓器ベースで、医師の判断する治療必要性に基づい評価する指標です。

(BILAG-2004では)8つの臓器系にわたる疾患活動性スコアを、治療必要性のレベルに応じてAからEで評価します。

  • 皮膚口粘膜病変
  • 脳神経病変
  • 筋骨格関節病変
  • 心臓・肺病変
  • 腹部病変
  • 眼病変
  • 腎病変
  • 血液異常

各グレードの簡単な定義は以下の様になっています。これはあくまで各臓器に共通する考え方であり、実際には臓器ごとに詳しく症状が決められています。

  • グレードA
    • 免疫抑制薬および/または1日20mg以上のプレドニゾロン(または同等品)用量、または高用量抗凝固療法を必要とする可能性が高い非常に活動性の高い疾患
  • グレードB
    • より低用量のコルチコステロイド、局所ステロイド、局所免疫抑制薬、抗マラリア薬、または非ステロイド性抗炎症薬を必要とする中等度の疾患活動性
  • グレードC
    • 軽度の安定した疾患
  • グレードD
    • 疾患活動性がないが、既往はある
  • グレードE
    • 活動性も既往もない

古典的BILAG指数は86項目、BILAG-2004指数はに97項目あります。各質問は、0 = 存在しない、1 = 改善、2 = 同じ、3 = 悪化、または4 = 新規、として回答します。BILAG-2004システム集計は、縦断的にスコア化され、臨床的に意味があり、複数のカテゴリー変数と比較して分析が容易な疾患活動性測定を提供します。これには3つの構成要素(活動性/悪化している疾患を有するシステム、改善している疾患を有するシステム、および持続的な最小限または活動性のないシステム)があります。このシステムは、治療の変化との期待される関連性を持っています。

研究における使用

  • Inclusion criteriaとしての使用
    • TULIP-2においては、BILAG 2004 で1つ以上の臓器に重度の疾患活動性(A項目≥1)または2つ以上の臓器に中等度の活動性(B項目≧2)を、Inclusion criteriaの一つとして使用されている
      • これに加えて、SLEDAI-2K ≧6、Clinical SLEDAI-2K ≧4、PGA≧1を満たすこととされている
    • BLISS-52などでは、SELDAIのみで、BILAGは使用されていない
  • 評価項目としての使用
    • 複合評価指標である、SRI-4・BICLAの一部として使用されています
    • SRI-4・BICLAでは、それぞれでBILAGの扱いが大きく異なり、これによって評価に違いが生まれています。
    • 多くの臨床試験では、副次評価項目として、BILAGでの悪化なし(新規1Aまたは2B以内)が使用されています。

よい点・悪い点

Arthritis Research & Therapy volume 17, Article number: 183 (2015)

よい点

  • 信頼性・妥当性がある
  • 評価の医療者ごとの差が少ない
  • 変化への感度が高い
    • SELDAIは臓器障害が消失しないと点数が変動しなかったが、BICLAでは改善を評価できる

悪い点

  • カテゴリー別または数値的スコアリングを計算するために、コンピューターを使用することが必須
    • これは有料
  • 病歴聴取や身体診察を含めて50分程度を要するため、実臨床には使用しにくい

BILAG flair index

BILAGを用いて再燃を定義するIndexがあります。  Ann Rheum Dis. 2011;70(1):54–59.

研究においては、中等度までの再燃を、再燃として扱っていることが多いように思います。

  • 重度の再燃 ・・・ A1項目以上
  • 中等度の再燃 ・・・ B2項目以上
  • 軽症の再燃 ・・・ B1項目 または C3項目以上

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