SLICC-DI

全身性エリテマトーデス

Systemic Lupus International Collaborating Clinics/American College of Rheumatology Damage Indexの略であり、SLICC/ACR Damage Index (SDI) または SLICC-DIと呼ばれます。

全身性エリテマトーデスの診断以降に生じた不可逆的な臓器障害を評価する指標です。

全身性エリテマトーデスを評価する指標のまとめは、こちらのページを参考にしてください。

歴史

SLICC(Systemic Lupus International Collaborating Clinics)とは、SLEに関する標準化された定義・指標・アウトカムを開発することを目的として1991年に発足した、国際共同研究グループです。 Urowitz MB et al., Lupus 1999; 8(5): 365-369.

初期作業として、1991年のボストン会議において、損傷インデックスの案(複数症例への適用テスト)が行われ、1996年にSLICC-DIが発表されました。 Arthritis & Rheumatism 1996 Mar;39(3):363-369.

評価方法

少なくとも6か月以上持続している臓器障害について評価します。

臓器障害の原因は、SLEそのもの、治療薬、無関係と考えられるものであっても評価されます。

12の臓器をカバーしており、それぞれの臓器の重症度に応じて、点数が異なります。

そのスコアの合計で点数が決まっており、疾患活動性とは異なり、基本的には減少しません

基本的に、複数の同じ障害があっても1点しか加算されません(脳血管障害など特殊な例は2点になるものもある)

  • 眼 (ocular)
    • 白内障
    • 網膜変化または視神経萎縮
  • 神経精神 (neuropsychiatric)
    • 認知機能障害または精神病
    • 6か月以上の治療を要するてんかん発作
    • 脳血管障害(CVA)既往あり;2回以上なら2点とする
    • 横断性脊髄炎
    • 脳神経または末梢神経障害(視神経を除く)
    • 多発単神経炎
  • 腎 (renal)
    • 推算または実測GFRが正常の50%未満、または血清クレアチニン > 3 mg/dL
    • 24時間尿蛋白 ≥ 3.5 g
    • 上記 または 透析または腎移植を要する末期腎不全(3点)
  • 肺 (pulmonary)
    • 肺高血圧症
    • 肺線維症
    • 縮小肺(Shrinking lung syndrome)
    • 胸膜線維症
    • 肺梗塞の既往
    • 肺塞栓の既往
  • 心血管 (cardiovascular)
    • 狭心症、または冠動脈バイパス術の既往
    • 心筋梗塞の既往(2回以上あれば2点)
    • 心筋症(拡張型または肥大型)
    • 弁膜症(Levine分類 3/6以上)
    • 6か月以上持続する心膜炎・心膜切除歴の施行
  • 末梢血管 (peripheral vascular)
    • 6ヶ月以上の間欠性跛行
    • 軽度の組織欠損(指尖部組織の欠損など)
    • 大きな組織欠損(指や肢の欠損など):複数部位の場合は2点
    • 浮腫・潰瘍・静脈うっ滞を伴う静脈血栓症
  • 消化器 (gastrointestinal)
    • 十二指腸より下の腸、脾臓、肝臓、または胆嚢の梗塞または切除(複数部位の場合は2点)
    • 腸間膜血流不全
    • 慢性腹膜炎
    • 狭窄または上部消化管手術の既往
  • 筋骨格 (musculoskeletal)
    • 筋萎縮または筋力低下
    • 変形性または破壊性関節炎(整復可能な変形を含む。ただし骨壊死は除外)
    • 骨折または椎体圧壊を伴う骨粗鬆症(骨壊死を除く)
    • 骨壊死(2か所以上では2点)
    • 骨髄炎
  • 皮膚 (skin)
    • 瘢痕性慢性脱毛
    • 頭皮および指尖部以外の広範な瘢痕または脂肪織炎
    • 6か月以上治癒しない皮膚潰瘍(血栓性を除く)
  • 内分泌 (endocrine)
    • 治療の有無にかかわらず糖尿病
  • 生殖腺((gonadal)
    • 早発性性腺機能不全(40歳未満の閉経、または精巣機能不全など)
  • 悪性腫瘍 (malignancy)
    • 悪性腫瘍(異形成を除く)。複数部位の場合は2点

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