副腎皮質ステロイド概説

一般内科

本記事は医療者向けです。

医療者でも、膠原病といえばステロイド、というイメージを持たれる方は依然として多いと思いますし、残念ながら現在でも寛解導入療法はステロイドを使用します。しかし、近年ステロイドに対する取り扱いは大きく変わってきています。

その潮流の変化は、膠原病リウマチ内科医の界隈では常識的なことではありますが、普段使い慣れない方にとっては体感しがたいと思われます。このページでは、ステロイドの基本的な知識から最近の扱われ方について記載します。

ステロイドで対応に困ったことがある場合は、こちらのページを参照ください。

ステロイドとは

ステロイドとはいったい何でしょう?患者さんに聞かれたらどのように説明しますか?

膠原病リウマチ内科という文脈において、ステロイドとはグルココルチコイド(GC)のことを指します。

そもそもステロイド=副腎皮質ステロイドは、副腎から分泌されるホルモン全体を指す単語です。薬剤として医学的に使用される頻度が高いものが、このうちのグルココルチコイドであるために、それを代表して呼びます。

  • 副腎皮質ステロイド
    • グルココルチコイド(糖質コルチコイド)
    • アルドステロン(鉱質コルチコイド)
    • 性ホルモン

生理的に分泌されるグルココルチコイドは、ヒドロコルチゾンです。

ステロイドの種類

プレドニゾロン、プレドニン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン、デカドロン・・・などグルココルチコイド製剤は多数の種類があります。やや複雑ですが、明確に違いを理解しておくことが重要です。

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患者さんへの伝え方

非常に切れ味が良く強力な作用を持つ反面、極めて多くの副作用を持ちます。まずはこの副作用を投与前に正確に・過不足なく伝える必要があります。

説明前の準備

例えば、膠原病になり、治療を始めようという段階で、副作用がずらっと書いた紙を持って患者さんの部屋に行き、1時間かけて副作用の説明することになりますが、前触れなく突然こんなことをされれば誰でも治療が嫌になります。

間質性肺炎急性増悪などの生命に関わる状態で、直ちにステロイドを開始しなければ命に関わる場合ならいざ知らず、ある程度精査や鑑別の段階であれば数日でも猶予があることが多いと思います。重要なことはその精査の間に、いわゆるジャブをうっておくということです。

回診や診察の時に、「膠原病を考えていて、ステロイドという薬剤を使う。それは効果はある程度保証されているが、非常に副作用が多い。詳細は入れる前に再度説明するが、副作用と効果のバランスをとっていくことが重要」というような内容を毎回にでも話します。

気にする患者さんは自分である程度副作用のことを調べるでしょうし、そうでなくてもこうすれば説明前に心の準備がある程度できることになります。

説明の内容
  1. まず抗癌剤などとは異なり、実際の自分の体内で産生されているホルモンであることを説明します。
  2. 膠原病に対しては広く用いられ、かつ効果が高いことが多いことを説明します。
  3. 副作用を5つにわけて説明します
    1.  免疫抑制による感染症
    2.  生活習慣病(旧:成人病)
    3.  体がもろくなる系
    4.  不眠症・精神
    5.  ほか
  4. 投与のおおまかなプランを説明します。

なお、一般的な「ステロイド」は、筋肉増強剤として使用されるアナボリックステロイドのイメージが強いと思われます。これはテストステロンに類似する薬剤のことであり、グルココルチコイドとは全く異なります。「ステロイドって聞いたことあります」という方には、これとは違うことも説明するようにしています。

ステロイドの副作用

ステロイドの作用機序

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